2023 Fiscal Year Research-status Report
高耐食性材料の表面改質による海洋生物定着促進・抑制機構の解明と海洋実証評価
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22K04725
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒田 健介 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任教授 (00283408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺門 修 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (90402487)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 表面改質 / 海洋生物 / 定着機構 / 海洋評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
表面改質した金属,セラミックス,ポリマー材料の化学的表面特性と海洋生物(藻類胞子,貝類幼生)の定着促進・抑制との学術的相関関係を明らかにしつつ,表面改質した材料を海中に設置し,生物定着促進・抑制の持続性の実地評価を進めている. 本年度は.すでに表面処理技術が確立しており,かつ,一般に海洋中で使用されているポリマー材料(ポリエチレン,ビニロン)を用いて,藻類胞子や貝類幼生の定着促進・抑制のラボ評価を行うとともに,海洋中での実地評価を行った(一部継続中).表面処理として,水熱処理,紫外線照射,大気圧プラズマ照射と,各種イオン定着処理やタンパク質定着処理,さらにはC-F系物質の定着処理を採用した. その結果,定着抑制実験においては,前年度の効果が芳しくなかった抗菌性イオン吸着材に代わり,C-F系物質を定着させた部材を新たに作製し評価を行ったところ,ビニロンロープ(16mm),ポリエチレン製フロート(浮き玉,ブイ)のいずれにおいても,半年以上にわたり,藻類や貝類の定着が著しく阻害・抑制され,ラボ実験の結果を裏付けるとともに,耐久性の観点からも極めて良好な結果となった. 一方,定着促進実験においては,ビニロン(促進イオン定着部材ならびにタンパク質吸着部材)の海洋設置実験を継続した.ビニロンロープ(16mm)を用いた実験では,部材表面に藻類ならびに貝類の自然定着・繁茂量が著しく増加し,海洋中においてもラボ実験と同様,十分にその効果が発揮できることを確認した. しかし,海苔網に用いられる2mmビニロンロープを用いた大規模評価(1m四方4枚)においては,固定が不十分であったためか,表面処理材が海洋流出し,表面処理の効果を確認することはできなかったため,平成6年度に大規模評価の再チャレンジを行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に記載の通り,海苔網に用いられる2mmビニロンロープを用いた大規模評価(1m四方4枚)において,ロープの固定が不十分であったためか,表面処理材が海洋流出し,表面処理の効果を確認することができなかったため. その他の実験内容((1)定着忌避ラボ実験,(2)定着促進ラボ実験,(3)定着忌避海洋実験,(4)定着促進海洋実験(小規模))については,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に結果が得られなかった2mmビニロンロープを用いた大規模評価実験(1m四方4枚)を再度行うものとする.さらにセラミック材料についての評価研究を行うものとする.以上を踏まえて,研究のとりまとめを行う.
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Causes of Carryover |
令和5年度に実施予定であった大規模海洋設置部材評価実験において,部材の海洋流出によって回収作業ならびに評価を行わなかったため使用額が減少した.令和6年度に実施する予定のなかった大規模海洋設置部材評価実験を再び行うため,これに充当するものとする.
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