2022 Fiscal Year Research-status Report
脱炭素化に向けた中圧ガス窒化による迅速表面硬化処理技術の研究
Project/Area Number |
22K04744
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
熊谷 進 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (30390389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛原 俊介 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (60604494)
伊東 航 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (30559852)
浅田 格 仙台高等専門学校, 総合工学科, 教授 (20300519)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 表面硬化熱処理 / ガス窒化 / 脱炭素化 / 構造材料 / アンモニア |
Outline of Annual Research Achievements |
表面硬化部材の高強度化への社会的要請は増大し続けている一方、生産コスト低減やCO2排出削減も同時に達成していく必要があり、それら社会的要請に対する解決策の一つとしてアンモニアを用いるガス窒化の高効率化を目指す。本研究では産業的にも十分に実証可能な1.0 MPa未満の中圧におけるガス窒化(便宜上、高圧窒化と呼ぶ)の有用性を実用鋼を対象に明らかにしつつ、学術的には圧力を変化させることで生じる窒素化合物生成量、窒素拡散層深さ、合金元素との炭窒化物析出形態の変化を明らかにすることで、複雑な実用鋼の窒化現象解明を図るとともに熱処理生産工程の更なる脱炭素化に資することを目的としている。 本年度は、安全かつ容易に腐食性ガスであるアンモニアを用いるための中空式高圧窒化実験炉を考案し、高圧試験方法の確立を行った。これは、供試材の丸棒試験片の中心軸をドリル等で中空とし、高圧配管と接続して中空部にアンモニアガスを流して内表面を窒化する方法であり、これにより通常の管状炉でも様々な圧力・温度で窒化をすることが可能な方法である。着脱の容易さを保ちながら高温におけるシーリング性を保持するために種々の接続方式を試行した結果、試験片外直径・内直径の最適寸法が定まり、平行ねじ接続・金属パッキン使用で目的とする実験が可能であることを確認し、今後の実験の実施方法を確定した。 本研究で実施する高圧窒化は間欠式(一定時間ごとにガスを入替え)で窒化を行う方式であり、通常のガス窒化がアンモニアガスを常時流通させるのに比べて格段にアンモニア使用量を減らせている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は高温・高圧で配管漏れのない試験方法の確立を目標に定めており、その点に関して種々検討の結果、試験片寸法、継手方法が定まったことで目標は達成した。2年目である現時点で実験が順調に進み、データが蓄積されている状況であり、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
カーボンニュートラルに向けたバックキャスティングとして動力伝達系部材の表面高強度化と生産工程も含む脱炭素化を指向し、以下の2点を研究として進める。 まず1点目は1年目に確立した実験方法に基づいて種々の構造材料を対象に高圧窒化を実施しして、迅速表面硬化処理技術の有用性を明らかにする。 2点目として、高圧窒化の学理的解明を図るために熱力学計算等の理論的な検討を行う。
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Causes of Carryover |
実験装置を構成するフローメータ等の半導体使用製品が発注済みではあるものの年度内に納品されなかったためであり、翌年度の納品で実験データの精緻さが増すことができる。
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