2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of processing technology using extremely high concentration cavitation energy by strong magnetic field
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22K04780
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
吉村 敏彦 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 教授 (20353310)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エネルギー集中キャビテーション / 機能性キャビテーション / 荷電気泡 / 強磁場 / ローレンツ力 / クーロン力 / 陽電子 |
Outline of Annual Research Achievements |
狭いノズルを使用する陽電子およびレーザー支援磁気エネルギー集中多機能キャビテーション (PLMEI-MFC) と呼ばれる新しい金属加工技術が開発し、SCM440 Cr-Mo 鋼、SNCM Ni-Cr-Mo綱に適用した。 レーザーの波長と出力を変化させた場合のシステムでは、ウォーター ジェット キャビテーション (WJC) 気泡を磁場中で超音波処理し、生成したキャビテーション雲に波長 450 nm のレーザービームを照射した。狭隘ノズルからの流量も加工速度に大きく影響することが明らかになった。 この系では、気泡内の電子と陽電子が明らかに消滅してγ線や他の形態のエネルギーが生成され、気泡内にエネルギーが集中した。 この PLMEI-MFC 処理により、Cr-Mo 鋼試験片の表面強度が大幅に向上し、引張残留応力の圧縮残留応力へ改善される応力は 1160MPaと高い値が得られた。 細いノズルを使用したこの PLMEI-MFC システムにより、ピーニング痕を発生させることなく鋼の表面に圧縮残留応力を加えることができる。Ni-Cr-Mo 鋼のピーニング特性については、高磁場中の陽電子照射機能性キャビテーション(PMEI-MFC)、高磁場中の機能性キャビテーション(MEI-MFC)、レーザー照射超音波キャビテーション(LMEI-UC)及び高磁場中の陽電子・レーザー照射超音波キャビテーション(PLMEI-UC)を適応した。未加工材の表面粗さを約4分の1まで低減することができた。さらに、PMEI-MFC 技術では、1155MPa の非常に高い応力改善量が得られた。従来のPLMEI-MFC にレーザー照射しないPMEI-MFC は表面粗さを低減し、平坦化する能力が高いことが分かった。本研究により、高い圧縮残留応力付与するともに、表面粗さを低減可能な精密ピーニング技術を開発することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
MEI-MFC の加工技術を確立することができた。本技術において、ネオジウム磁石の配置と磁束密度、加工度および発光強度(ソノルミネッセンス:気泡温度)の関係を明らかにした。ここで、水中では無く大気中で加工できる装置を作製した。したがって、現状の水中で使用しているEI-MFC 装置の超音波振動子ではなく、大気中で使用可能な超音波振動子を導入した。大気中から7角形水槽に導入する低圧水の流量、流速を決めた。これにより、既存の 0.8mmWJ ノズルを備えた走行機構を用いると加工領域は飛躍的に拡大する。当初予定していなかった次の技術に挑戦した。0.1mm 狭隘ノズルを上記7角形水槽に装着し、強磁場下のエネルギー集中機能性キャビテーションにレーザー光を照射し、磁場エネルギーにより活性化された荷電気泡にレーザーエネルギー(LMEI-MFC)を照射し、気泡内のイオンの価数を増加させる多光子イオン化を生起させた。さらに、22Na陽電子源から放出される陽電子を照射する技術(PLMEI-MFC)を開発した。これらの効果により、荷電気泡の衝突は更に活発化し、エネルギーが集中した気泡数が増加する。従来困難とされていた小型キャビテーション気泡によるピーニング効果を発生させることに成功した。微小気泡が崩壊して加工するため、Cr-M鋼(SCM440)やNi-Cr-Mo鋼(SNCM420)の表面粗さを抑制しながら圧縮残留応力を付与できる新しい精密ピーニング技術となる。特に、レーザーを照射しないPMEI-MFCは高い圧縮残留応力を付与しながら、未加工(フライス面)の表面粗さを4分の1まで低減することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022~2023年度に開発したMEI-MFC、LMEI-MFC及びPLMEI-MFC技術を、高温酸化環境にさらされるジェットエンジンおよびガスタービンの主として初段動翼に使用されるNi基超合金単結晶材 (SC610-SC)と2段動翼に使用されるNi基超合金柱状晶CM186LC -DSの表面の高機能化を検討する。PLMEI-MFCやPMEI-MFC、LMEI-MFC、 MEI-MFCやLMEI-MFC加工が、EI-MFCよりも付与される1) 圧縮残留応力、2) 表面亀裂の発生防止、3) 表面硬度、4) 耐食性、5) 摩擦係数の点で優れることを確認する。また、LMEI-MFC加工によりTi-6Al-4V合金(α+β相)、圧縮残留応力の向上を図るとともに、最表面からβ変態点以下の温度域(α+β域)でLMEI-MFCにより鍛造し、α+β組織を評価する。その後、LMEI-MFC 加工により430-650℃程度まで再度温度を上げ、一定時間保持してピーニング時効処理を行って微細なα相が析出させて高強度化を図る。これらの究極の加工エネルギーを活用し、ジェットエンジンやガスタービンのタービン動翼に用いられる Ni 超合金のクリープ強度の高強度化、高機能化を図る。さらに、ジェットエンジンに用いられるチタン合金薄肉化を目指した高強度化に取り組み、水素社会を見据えた水素ガスタービンの低コスト化、省エネを目指したピーニング高温組織制御技術を確立する。
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Causes of Carryover |
PLMEI-MFC技術の開発に必要な陽電子源や陽電子管理に必要な放射線モニター等を購入した。また、国際学会(5th)でLMEI-MFCの研究成果を発表するため、前倒し請求を行った。
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Research Products
(7 results)