2022 Fiscal Year Research-status Report
希土類-遷移金属系合金中酸素溶解度測定による融体中局所安定構造熱力学モデルの開発
Project/Area Number |
22K04787
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 能直 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20354269)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 熱力学 / 酸素溶解度 / 希土類 / 遷移金属 / 液体金属物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
希土類金属-遷移金属(RE-M)融体中酸素の熱力学的性質の調査にあたり、実験方法の確立及びその妥当性の確認としてサマリウム-ランタン(Sm-La)融体と希土類酸化物相の相平衡に関する調査を行った。 実験方法の確立に際し、用いるるつぼの材質、蒸気圧の高いサマリウムの揮発抑制、希土類金属を含む合金融体の酸化抑制などの課題を解決する必要がある。用いるるつぼの材質に関して調査を行い、希土類金属同士の合金融体を保持するには、モリブデン、タンタル、タングステンが適していることが分かった。これらのるつぼ材質のうち、モリブデンは希土類金属融体への溶解が少量見られ、実験に必要な純度とるつぼの入手性を考慮してるつぼ材質を決定する必要性があるとわかった。サマリウムの高い蒸気圧については、ジルコニア主成分の耐熱無機接着剤を用いてるつぼを密閉することでサマリウムの揮発を抑制することに成功した。同手法では無機接着剤の成分混入による希土類金属融体の純度低下も見られず、効果的なサマリウム蒸気抑制法であることが明らかとなった。希土類金属を含む合金融体の酸化抑制については、鉄またはチタン製のホルダーにるつぼを入れ、溶接密閉することで系内の酸素量を制限し、酸化抑制に成功した。 上記で開発した実験方法の妥当性の検証のため、1573 KにおいてSm-La融体中と希土類酸化物相の平衡実験を行った。その結果、Sm-La融体と平衡する酸化物相はLa2O3とSm2O3の固溶体であることが明らかとなった。また、Sm-La融体中酸素溶解度の測定にも成功し、実験方法の確実性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験方法の確立及び希土類合金融体を用いた妥当性確認の予備実験を行ったが、Fe,Cuを含む系の実験にまだ進むことができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はFe,Cuを含む系に適したるつぼ材質の調査を進め、Fe,Cuを含む系の平衡実験を進める予定である。
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Causes of Carryover |
実験方法の確立に予定より時間を要し、実験回数の計画に変更が生じたため。次年度は、今年度予定していたFe,Cuを含む系の実験を進める予定である。
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