2022 Fiscal Year Research-status Report
レアアースの効率的なリサイクルを実現する高分子吸着材の開発
Project/Area Number |
22K04795
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
保科 宏行 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員 (60446416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬古 典明 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員 (10354953)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 吸着材 / 資源回収 / 不織布基材 / レアアース / 放射線加工 / 量子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、放射線加工技術を駆使して、ポリエチレン製不織布基材に、レアアースに対して親和性が高い低分子の金属抽出剤と、サイズ認識により金属の分別が可能なネットワーク構造を効果的に導入し、対象とする金属だけを選択的に捕捉可能な高分子吸着材の開発を目指す。 抽出剤を吸着基として導入するうえで、抽出剤が有する吸着特性を損なうこと無く、安定した状態で高分子基材に導入することが重要である。そこで、本年度の研究では、抽出剤およびネットワーク構造の導入に必要な架橋剤の選定を行うとともに、放射線架橋を行う際の線量や抽出剤と架橋剤の混合比等が及ぼす吸着基導入量および吸着特性への影響について検討した。 レアアースに高い親和性を持つ2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシルに対して、5~50 wt%の割合で、5種類の架橋剤をそれぞれ混合させた後、混合液を不織布基材に含侵させた状態で電子線を10~200 kGy照射して吸着材を合成した。照射後に未反応の混合液を洗浄した後、合成前後の重量差から吸着基(架橋構造を含む)の導入量を算出した結果、架橋剤量及び線量の増加に伴い導入量が増加する傾向が認められた。得られた吸着材を用いて、ジスプロシウム(Dy)に対する吸着特性を評価した結果、線量50 kGy以上の条件で合成した吸着材は吸着性能が低下することが分かった。これは、吸着基近傍に過剰に導入された架橋構造がDy吸着を阻害したことが原因と考えられる。一方、トリアリルイソシアヌレートを50 wt%混合し、30 kGyの条件で合成した吸着材は、Dyに対して吸着材1 gあたり17 mgの高い吸着量を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、放射線架橋により吸着基を導入する際の、線量および抽出剤と架橋剤の混合比、架橋剤種等について検討を行い、不織布基材に吸着基を導入することができた。また、吸着材合成条件、吸着基導入量が及ぼす吸着特性への影響についても検討し、高い吸着量を有する高分子吸着材の合成に成功したことから、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、吸着材に導入した架橋構造の密度と吸着選択性の相関性を明らかにする。また、吸着した金属の最適な溶離条件を検討するとともに、吸着材の耐久性評価を行い、吸着材の繰り返し使用を検討する。
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Causes of Carryover |
既に所有していた試薬や器具類を有効に活用したことで、当初予定していた予算より減額できたため、次年度使用が生じた。 金属抽出剤や架橋剤などの吸着材合成用試薬類の他、吸着材の性能評価に用いる標準試薬や器具などを購入する。また、研究成果を学会等で発表するための旅費などに使用する予定である。
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