2022 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical assessment of the microscopic interactions as a key factor of the antifouling properties of membrane materials for water treatment
Project/Area Number |
22K04802
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
南雲 亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20552003)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 分子動力学法 / 膜ファウリング / 水透過膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
水透過膜の研究開発において、透水性能の経時劣化(膜ファウリング)は解決すべき重要課題である。本研究は、分子動力学(MD)シミュレーションによって膜ファウリングの詳細メカニズムをミクロな視点から解析することを試みた。具体的な検討対象には、ポリ(アクリル酸2-メトキシエチル)(PMEA)やポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)(PHEMA)などのアクリレート/メタクリレート系素材に加え、透析膜の親水化剤として利用されるポリビニルピロリドン(PVP)など、種々のポリマー素材を設定した。有機ファウラントのモデル物質には、直鎖構造や分岐構造を有する低分子量の有機化合物を適宜設定した。計算モデルの構築に際しては、素材オリゴマーと有機ファウラントを混合した直方体セルを構築し、等温・等圧条件下におけるMD計算を実施した。系が平衡状態に到達したことを確認した上で、等温・等積条件下におけるMD計算を実施した。これにより得られた計算データを解析し、系の分散・凝集状態と耐ファウリング性能の相関関係を検証した。その結果、PMEAの側鎖末端を構成するメトキシ基が、耐ファウリング性能の発現に強く関与していることを示唆した。さらにPVPの素材オリゴマーと有機ファウラントを混合したモデル系においても、PVPの良好な耐ファウリング性能を裏づける結果を得た。以上により、本研究で推進する耐ファウリング性能の解析手法が、広範なポリマー素材の系に適用できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アクリレート/メタクリレート系の他、PVPなどにも適用範囲を拡大しており、研究開始当初の進捗目標がおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリマー素材を構成する種々の官能基の種類と耐ファウリング性能の関係を分子レベルで解析する。得られた結果を踏まえ、親疎水性や荷電特性などの表面物性が耐ファウリング性能に与える影響を評価する。
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Causes of Carryover |
2022年度は、アクリレート/メタクリレート系素材のファウリング特性を解析する作業に対して、当初計画をやや上回るエフォートを投入した。その結果、他の研究項目に関する特段の支出は発生せず、次年度使用額が生じた。2023年度は、他のポリマー素材にも焦点を当ててファウリング特性を解析するため、新たなワークステーションの購入を計画している。別途、研究成果を公表するための学会の参加経費や、学術雑誌での研究成果の発表に際して必要な英文校正料や論文投稿料などを計上する。
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