2022 Fiscal Year Research-status Report
無機吸着剤を高機能化した分離システムの創製と水環境中の有害重金属除去
Project/Area Number |
22K04807
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
西浜 章平 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (00347668)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膜分離 / 無機吸着剤 / 混合マトリックス膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、水環境中の有害重金属であるヒ素、およびセレンを分離対象物質とし、鉄系の粉末吸着剤ゲータイト(FeOOH)を担持した混合マトリックス膜によるヒ素とセレンの分離除去を行うことを目的としている。令和4年度の研究成果は以下である。 (1)ゲータイトによるヒ素およびセレンの吸着挙動の定量的解明 ゲータイトによるヒ素(V)とセレン(VI)の吸着挙動について検討を行った。いずれの金属においても、吸着は酸性側で進行し、pHの増加と共に吸着量が減少した。したがって、ゲータイトは酸性領域で両金属の吸着に適切であることが明らかとなった。また、吸着はいずれの金属においてもラングミュア型で進行することが明らかとなった。一方で両金属が混在した混合系においては、ヒ素の吸着が選択的に進行し、セレンの吸着は抑制される結果となった。これらは拡張ラングミュアモデルとは一致せず、修飾ラングミュアモデルと一致した。 (2)ゲータイトを混合マトリックス膜に保持した高機能性膜分離材料の調製とヒ素およびセレンの同時分離除去手法の確立 ゲータイトを保持した混合マトリックス膜は非溶媒誘起相分離法を用いることで調製可能であった。支持層の上に緻密なスキン相を有する非対称膜の調製が可能となった。また、調製した混合マトリックス膜はクロスフロー型の膜分離システムへ適用が可能であった。膜分離はゲータイトによる吸着に起因することから、pH領域を選択することでいずれの金属も分離することが可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の研究計画であった(1)ゲータイトによるヒ素およびセレンの吸着挙動の定量的解明について予定通りの進捗で実施した。また、(2)ゲータイトを混合マトリックス膜に保持した高機能性膜分離材料の調製とヒ素およびセレンの同時分離除去手法の確立については令和4年度~5年度に実施予定であり、高機能成膜分離材料の調製法の確立と膜分離システムへの適用までを実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、研究計画通り、ゲータイトを混合マトリックス膜に保持した高機能性膜分離材料の調製とヒ素およびセレンの同時分離除去手法の確立について実施する。特に、混合系ではセレンの吸着が抑制されることから、これらを同時に分離除去可能な手法の研究が必須である。
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