2022 Fiscal Year Research-status Report
ナノスケール超空間でのアーキテクトニクス分子センシングシートの創成
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22K04811
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
奥山 哲也 久留米工業高等専門学校, 材料システム工学科, 教授 (40270368)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ZnO / 巨大ナノシート化 / キャッピング剤 / 光触媒性能 / 結晶成長抑制 / ナノシート集合体 / 水熱合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化亜鉛 (ZnO)の光触媒活性を高めるため、粒子形態制御法の一つとして分子添加剤を用いたキャッピングによる手法を用いて<0001>軸(c軸)方向への結晶成長の抑制と{1-100}面(m面)への生長を促進し、巨大比表面積を有するとともに光触媒活性に有効な極性面{0001}面を露出した材料を得るナノシートの合成に取り組んでいる。 初年度はポリエチレンイミンを用い、さらにZnOの{0001}面露出面積を増大させるためのキャッピング剤としてクエン酸を添加した水熱合成法による広大なナノシート化を試みた。 Zn濃度とクエン酸添加量を変調した合成では、 長さと直径が数μm程度のマイクロロッド、直径方向に約2倍程度広がったマイクロプレート、粒径が約2 μmのマイクロプレート集合体、 膜厚20 nm程度のナノシート集合体(多孔質粒子)の4種の形態が特定の濃度条件下で確認され、得られた合成粒子はXRD測定結果から全てZnO物質であることを特定した。本年度に得られた形態の違いについて考察したところ、ポリエチレンイミンによる立体障害とクエン酸の添加による特定方向への成長阻害が成長に影響したことを明らかにした。光触媒性能を調査したところ、いずれの試料においても活性効果がみられたが、特に多孔質体であるナノシート集合体においては、巨大比表面積効果と極性面を多く露出していることに起因して、他の形態に比べ光分解反応が顕著となっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キャッピング剤がZnOナノ粒子形態へ及ぼす効果について明らかにすることができた。 特に濃度変調による形態構造の違いをポリエチレンイミンによる立体障害とクエン酸添加による特定方向への結晶成長の抑制効果を本年度解明した点が順調に進展している成果である。 また、紫外線照射下におけるメチレンブルーの光分解反応を検証した結果、いずれの試料においてもメチレンブルー濃度の減少が見られ、光触媒効果が確認できた。特に、多孔質体であるナノシート集合体においては、巨大比表面積効果と極性面を多く露出していることが起因し、他の形態に比べ光分解反応が顕著となっていることを確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の液相合成法においてクエン酸を添加したことでマイクロロッドやマイクロプレート形態のZnOナノ構造体が得られた。この成果は添加物官能基がZnO粒子の形態制御因子として強く寄与することを示唆している。このように合成時の試薬を含め、形態を決定づける様々な実験条件因子は構造制御の精密化を複雑化しており、体系的な調査を進める。 本年度では、利用分野に応じた最適な形態制御を目標に、ZnOナノ構造体の合成時の試薬と構造形態との関連性調査する。特に、添加物官能基を持つ合成試薬に着目し、同じ直鎖を持つ官能基でありながらも異なる分子鎖をもつ試薬の添加によるナノワイヤ、ナノフラワー、ナノシートや未確認形態等への変化を体系的に明らかにし、添加物官能基の影響および構造形態を解明する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、出張費が全く生じなかったため、その経費が使途費として発生しなかった。本年度は出張による講演を行う予定であり、計画的な執行を行う。 試薬類の欧入については前年度までのものが活用できたため、新たに購入する必要がなく、次年度への持ち越しとなった。 本年度の成果をもとに必要試薬を購入する予定である。
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