2022 Fiscal Year Research-status Report
新規ゼオライトの特異な細孔構造を活かした高性能触媒の創製
Project/Area Number |
22K04825
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
窪田 好浩 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (30283279)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | チタノシリケート / アルミノシリケート / 触媒 / フェノール酸化 / ヒドロキノン / カテコール / 触媒 / YNU-5 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずAl-YNU-5の水熱合成を行った。その後,焼成処理,硝酸処理,気相TiCl4処理を順に施して[Ti]-YNU-5を得ることに成功した。さらに熱処理を施して疎水化したものを[Ti]-YNU-5_calと表記する。反応は,触媒,基質,酸化剤を耐圧管に加えて撹拌することにより行った。フェノールの酸化は100℃,10分間の条件で行った。ただし,「共溶媒」を加える場合は,70℃,60分間の条件で行った。反応終了後,反応液に対して十分なアセチル化処理を施し,GC (FID) で分析した。 YNU-5は一連のポスト処理を経てもYFI骨格を保持していた.[Ti]-YNU-5のDR UV-visスペクトルでは,四配位かつclosed site のTi種(Ti(OSi)4)に帰属される210 nm付近のピークが観測された。元素分析結果を考え合わせると, YNU-5の骨格にTiが十分に導入されたと言える。検討しているフェノール酸化反応の液相は,大過剰のフェノールが溶媒を兼ねるとともに,過酸化水素水由来の水が共存する系であるが,それ以外の溶媒を添加する場合は「共溶媒」と呼ぶこととする。共溶媒を加えない系において,[Ti]-YNU-5_calは既存の触媒であるTS-1と同程度のTONを示した。また,生成物のうちオルト体であるカテコールが優位に得られた。一方,炭素数が3~4のアルコール体を共溶媒とした系では,パラ体であるヒドロキノンが優先的に得られた。なお, [Ti]-MCM-68 (MSE) 触媒5)の場合は,共溶媒としてEtOHが高いパラ選択率向上効果を示したが,[Ti]-YNU-5_calにおいてはアルキル基がより嵩高いC3~C4アルコールが効果的であった。なお,[Ti]-YNU-5_cal触媒は,直鎖状アルケンのエポキシ化反応に対しても,TS-1と同等以上の触媒性能を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調YNU-5は物質群としてアルミノシリケートに属し,Si/Al=9 という比較的Al含量の多いゼオライトである。Alの脱離処理(脱Al処理)によって欠損部位を意図的に形成し,欠損部位にTiを導入することで,チタノシリケートであるTi-YNU-5の調製が可能であると見込んでいたが、実際にそれに成功した。フェノールの酸化触媒として使用したところ、触媒性能は期待したほどではないことがわかった。溶媒効果を活用することで、結果を改善することができた。 現時点でのこれらの結果は,当初我々が目標にしていたレベルに到達しているため,概ね順調であると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
チタノシリケートの調製には成功したものの,活性・選択性ともに,期待したほどではない。これを改善するためには,粒子径の縮小,粒子の階層化,親疎水性の制御などの検討が必要と考えている。
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