2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of new visible light responsive organic semiconductor photocatalyst and its evaluation of antibacterial and antiviral activity
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22K04827
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
市橋 祐一 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20362759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷屋 啓太 神戸大学, 工学研究科, 助教 (30632822) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光触媒 / 有機半導体 / 過酸化水素生成 / 抗菌作用 / 可視光応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
可視光応答型有機半導体を光触媒として新規に合成し、それら光触媒による可視光照射下での水と酸素による過酸化水素生成反応活性について評価し、さらにその抗菌・抗ウィルス性能についても検討を行うことを目的とする。有機半導体であるピセンおよび、より安価なアントラセンやピレンに置換基を導入した誘導体を開発し、これらを光触媒とする可視光照射下での水と酸素による過酸化水素生成反応について検討した。DFT計算の結果から、可視光を吸収し、水の酸化反応を起こしうる触媒を探索し、5,8-ジシアノ-ピセンと13-カルボキシル-ピセン、2,7-ジシアノピレン、9-シアノアントラセン、9-ニトロアントラセン、9,10-ジシアノアントラセンの6種類を候補とし、合成を試みた。これら合成されたこれら触媒を用い、実際に可視光照射下での水の酸化による過酸化水素生成量について検討を行った。また、種々のキャラクタリゼーションの結果から、より効率的に可視光照射下で水を酸化し、過酸化水素を生成する触媒の探索を行った。さらに、高い過酸か推せ生成活性を有する有機半導体光触媒を用い、可視光照射下での大腸菌の死滅効果について検討を行い、その活性発現についても種々のキャラクタリゼーションから、反応中に形成する活性酸素種が大腸菌を死滅させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画に基づき、可視光照射下で効率的に過酸化水素を生成する有機光触媒の探索をDFT計算により行い、5,8-ジシアノ-ピセンと13-カルボキシル-ピセン、2,7-ジシアノピレン、9-シアノアントラセン、9-ニトロアントラセン、9,10-ジシアノアントラセンが条件に適応する触媒であると予測し、それぞれを合成した。実際にそれら触媒を用いて、可視光照射下での水の酸化による過酸化水素生成量を測定したところ、全ての触媒で過酸化水素の生成が確認され、5,8-ジシアノピセン<2,7-ジシアノピレン<13-カルボキシルピセン<9-シアノアントラセン<9-ニトロアントラセン<9,10-ジシアノアントラセンの順に過酸化水素生成量が増加することがわかった。それぞれの触媒のHOMO-LUMOエネルギーギャップをDFT計算により算出したところ、13-カルボキシルピセン>2,7-ジシアノピレン>5,8-ジシアノピセン>9-シアノアントラセン>9-ニトロアントラセン>9,10-ジシアノアントラセンとなり、過酸化水素生成量には光の吸収量が影響しているのではないかと考えられた。当初予定よりも実験が順調に進んだため、これら触媒による可視光照射下での大腸菌の死滅効果についても検討を行った。その結果、これら触媒の抗菌活性の比較は過酸化水素生成量と同じ順であり、過酸化水素生成量と抗菌活性をプロットすると、極めて良い相関関係があることが明らかとなった。以上のことから、過酸化水素生成量と大腸菌の死滅活性には何らかの関係性があることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
極めて順調に研究が遂行できているため、当初予定を繰り上げて実験を進めている。ただし、過酸化水素生成における速度論解析的解析には苦慮しており、過酸化水素生成活性とHOMO-LUMOエネルギーギャップには比較的良い相関関係があることは見いだせたものの、完全には一致しないことがわかった。この理由としては、形成された過酸化水素は比較的不安定で、過酸化水素の分解反応も同時に進行していることから、生成反応速度と分解反応速度の両方が混在するためであると考えられる。さらに、水の分解による水素生成反応では単純に置換基の電気陰性度と水素生成活性は相関関係が見られたが、水の酸化では反応が多段階であり、複雑な反応経路のため複雑化しているものと考えられる。しかしながら、HOMO-LUMOエネルギーギャップが一つの指針となるため、最も高い過酸化水素生成活性を有する9,10-ジシアノアントラセンをまずは用いて詳細を検討し、さらなる高活性触媒の探索も平衡して行うこととする。
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Research Products
(5 results)