2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K04833
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
奥村 和 工学院大学, 先進工学部, 教授 (30294341)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 固溶体 / 酸化マグネシウム / 貴金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度では貴金属元素とMgOの相互作用の起源を調べるために、第5,6周期の5種類の元素(Ru,Rh,Pd,Ir,Pt)のナノ粒子とMgOを混合し、エックス線吸収スペクトルによって微細構造を調べた。その結果、これらを焼成すると固溶体を析出したのちに、900~1000℃の再析出するという現象が共通して起こることを見出した。一方、AgおよびAuとMgOを混合物を熱処理しても固溶体は生成しなかった。固溶体を生成した元素の価数は2または3価であり、これらのカチオンはMg2+と近いイオン半径を有してたことから、MgO中のMg2+とカチオンが交換することで固溶したことが明らかになった。Pd-MgO固溶体によってベンジルアルコール-アニリン反応をおこなったところ、ベンジリデンアニリンが選択的に生成した。活性は反応器中の空気の体積によって大きく変化したことから、Pdの一部がPdOに酸化され、金属PdとPdOが共存した触媒がベンジルアルコールからベンズアルデヒドへの酸化を促進し、生成したベンズアルデヒドとアニリンが反応したことでベンジリデンアニリンが選択的に生成したことを推察した。一方、Ru-MgOを触媒としてアンモニアの分解反応をおこなったところ、活性は焼成温度によって変化し、900℃で熱処理した試料がもっとも高い活性を示した。これは、900℃で焼成することでよく分散したRuがMgOの表面に析出したためであると考えられる。また、Pt-MgO固溶体がヒドロシリル化反応に高い活性を示すことを見出した。水素によって処理したPt-MgO固溶体触媒が高い活性を示したため、金属PtとPt4+が反応に関与しているという可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5種類の貴金属元素とMgOが強く相互作用し、固溶体を生成すること、さらに約900℃で焼成することで再析出することを明らかにし、再析出した触媒がヒドロシリル化等の反応に高い活性を示すことを見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
貴金属元素-MgO固溶体を沸騰水で処理することで、MgOをMg(OH)2に転換した試料をさまざまな温度で熱処理することで、固溶-再析出が可逆的に起こることを調べ、沸騰水処理による凝集・劣化した試料の再生について検討する。さらにUSYゼオライトの細孔にMgOを導入したMgO/USYに貴金属元素を含浸、焼成することでMgOの表面付近に貴金属元素を固溶させ、焼成することで分散度の高い金属クラスター粒子を生成させる。調製した試料によってヒドロシリル化等の反応をおこない、高活性発現のメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
2022年度では主に触媒の調製と構造解析に注力し、一部の触媒反応をおこなったのみであるため。2023年度に本格的に触媒反応を実施し、反応機構等を明らかにする予定である。
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Research Products
(9 results)