2022 Fiscal Year Research-status Report
創薬研究のための昆虫抽出液バイオリアクターを用いた新規ペプチド合成システムの開発
Project/Area Number |
22K04849
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Research Institution | Okinawa National College of Technology |
Principal Investigator |
伊東 昌章 沖縄工業高等専門学校, 生物資源工学科, 教授 (00395659)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新規ペプチド合成システム / 昆虫抽出液 / バイオリアクター / ペプチド創薬研究 / 低分子タンパク質 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症等の治療薬開発に向けてペプチド創薬研究が活発化している。しかし、研究に用いる高分子量のペプチド合成において、固相合成等化学的方法では迅速化やスケールアップが難しく、組換え大腸菌ではジスルフィド結合が形成できない等の不具合があり、研究推進の障壁となっている。そのため、本研究では、我々が発案・実用化した昆虫無細胞タンパク質合成系を基盤とし、昆虫抽出液をバイオリアクターとして用いた新規ペプチド合成システムを開発し、「ペプチド創薬研究に活用できる技術」に創りあげることを目的とする。 初年度となる2022年度では、低分子タンパク質に相当するいずれも抗菌性を有する170アミノ酸残基のHuman cathelicidin(LL-37, 19 kDa)、 94アミノ酸残基のHuman defensin 5(α-Defensin-5, 10kDa) を用いて合成系および評価系の構築を行った。C末端にStrep-tagⅡ配列を導入したLL-37、およびα-Defensin-5発現プラスミドを鋳型として、mRNA合成キットを用いてmRNAを合成した。合成したmRNAにカイコ後部絹糸腺抽出液、リアクションバッファを加えて、25℃、5時間、合成を行った。その後、反応液を用いてウエスタンブロット解析を行った。その結果、LL-37およびα-Defensin-5は、どちらも想定される分子量の21kDaおよび12kDa付近(遺伝子+スペーサー+Strep tag IIのため)に特異的なバンドとして検出することができた。これにより、本年度の目標を達成することができた。2023度以降は、構築した評価系と分子量の異なる低分子タンパク質およびペプチド5種程度を用い、合成条件等を最適化することで、100 μg/ml 以上の効率で機能性を有するペプチドの合成を実現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低分子タンパク質に相当するいずれも抗菌性を有する170アミノ酸残基のHuman cathelicidin(LL-37, 19 kDa)、 94アミノ酸残基のHuman defensin 5(α-Defensin-5, 10kDa) を用いて合成系および評価系の構築を行った。まず、それらの遺伝子合成を外部に委託し、昆虫無細胞系用低分子タンパク質発現プラスミドを作製した。それらを 用いて、カイコ無細胞系にて低分子タンパク質の合成を行った。次に、低分子用のゲル濃度でのトリシン-SDS-PAGE、PVDF 膜等をペプチドに適するように変更した上で、合成産物のウエスタンブロット解析の条件の検討を行い、合成低分子タンパク質の評価系を構築することができた。以上の成果より、初年度の目標が達成できたことより、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した評価系と分子量の異なるペプチド 5 種程度を用い、低分子タンパク質およびペプチド合成に適する抽出液作製条件、翻訳促進配列の創造、mRNA合成条件、低分子タンパク質およびペプチド合成時におけるジスルフィド結合形成を含めた反応条件等を最適化することで、タンパク質合成量と同等レベルである 100 μg/ml 以上の効率での機能性を有するペプチドの合成を実現する。特に、ペプチドの機能性発現には、ジスルフィド結合が重要な場合が多いため、プロテインジスルフィドイソメラーゼ、酸化型グルタチオン、還元型グルタチオンを最適量加えることにより、ジスルフィド結合形成可能なペプチド合成システムを開発する。以上を実施し、開発目標を達成することで、従来の高分子量ペプチドの合成方法を補完し、ペプチド創薬研究に活用でき得る新規ペプチド合成システムを構築する。
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