2022 Fiscal Year Research-status Report
自動塩基変異導入機構とヒト人工染色体を用いたCHO細胞での迅速な抗体作製法の開発
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22K04851
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
長谷川 嘉則 公益財団法人かずさDNA研究所, ゲノム事業推進部, グループ長 (30387683)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抗体ライブラリー / ヒト人工染色体 / 自動塩基変異導入システム |
Outline of Annual Research Achievements |
短期間での高機能な抗体の取得は、タンパク質発現に関する各種遺伝子実験への利用はもとより抗体医薬を使用した治療目的にも求められている。研究代表者は、かずさDNA研究所の特許技術である新規の部位特異的組換えシステムを利用した1細胞へ1種類の遺伝子をしかも1コピーだけ効率的に挿入する方法を活用して、CHO細胞において迅速に抗体ライブラリーのスクリーニングを行う系を完成させている。本研究では、そのシステムへ自動塩基変異導入システムを追加することによって、スクリーニングした抗体について実際の抗体医薬として望まれるKDである10-9M以下まで高めることを目標とする。抗体遺伝子および自動塩基変異導入システムの挿入箇所にヒト人工染色体(HAC)ベクターを利用することが本研究の大きな特徴である。HACベクターはホスト細胞の染色体からは独立して安定に複製分配されるので、遺伝子増幅の影響をHACベクター上だけに限定することができ、さらに増幅した抗体産生遺伝子搭載HACベクターをヒト汎用細胞株であるHEK293へトランスファーを行うことも可能になる。本年度は、自動変異システムに使用する遺伝子とその発現制御配列について人工遺伝子合成を行い、それらを組み立てて、二つのプラスミドを完成させた。その後、先ず一つのプラスミドをHACベクターに搭載した。一つ目のプラスミドを搭載したHACベクター保有CHO細胞について、FISHで確認したところ、HACベクターはホストの染色体から独立して存在していた。また、RT-PCRで遺伝子発現を確認したところ、一つ目のプラスミド由来の遺伝子の発現が確認された。現在、二つ目のプラスミドについて、HACベクターへの搭載を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トラブルもなく予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、二つ目のプラスミドについて、HACベクターへの搭載を進めている。搭載完了後、HACベクターがホストの染色体から独立しているかどうかを調べ、一つ目と二つ目のプラスミドに搭載した遺伝子群の遺伝子発現を確認する。全てが問題ないことを確認できたら、次は、自動塩基変異導入の効率を調べる。方法としては、分子バーコード法を利用して、次世代シーケンサーにて正確な自動塩基変異導入の効率を算出する。その結果をもとに、実際の抗体への使用方法について決定する。
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