2022 Fiscal Year Research-status Report
シリコン結晶膜の転写とナノ多孔粒子の導入による極薄フレキシブル太陽電池の高効率化
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22K04879
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
佐藤 慶介 東京電機大学, 工学部, 教授 (70366384)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナノ材料 / 太陽電池 / フレキシブル / 転写 / エネルギー効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、極薄フレキシブル太陽電池の発電効率と大気環境下での耐久性の向上を図るべく、フレキシブル基板上への極薄シリコン結晶膜の転写技術、シリコンナノ多孔粒子の表面改質技術、多孔部分への導電性ポリマーの浸透度向上技術を確立し、さらに、光電変換層に導入する電子/正孔輸送層と高屈折層を最適化することで、高発電効率ならびに大気環境下での高耐久性を有する極薄フレキシブル太陽電池を創製することである。今年度取り組んだ内容としては、フレキシブル基板上への極薄シリコン結晶膜の転写技術について検討を行った。本研究では、シリコン基板表面にスピンコーターを用いて剥離用テンプレート材料として酸化グラフェン膜を塗布し、その上にスパッタリング装置を用いて極薄シリコン結晶膜を堆積させた。酸化グラフェン膜の塗布に関しては、酸化グラフェン分散溶液を作製し、酸化グラフェンの濃度を可変させてシリコン基板表面への塗布を行った。その結果、0.3wt%の濃度に対してシリコン基板表面に一様に塗布されていることを確認した。また、極薄シリコン結晶膜に関しては、発電層として使用するため、太陽光の反射率を低減でき、高い吸収率を得ることができるナノワイヤ構造に加工する必要がある。そのため、光吸収率とナノワイヤ長の最適化を図ったところ、約800nmの極薄シリコン結晶膜において良好な結果を得ることができた。極薄シリコン結晶膜の転写に関しては、テープによるテンプレート材料からの剥離を行ったところ、極薄シリコン結晶膜の剥離領域が小さく、シリコン基板からの剥離に課題が残った。引き続き、剥離用テンプレート材料の改良を行うことで極薄シリコン結晶膜の剥離領域の拡張を図る必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の目標であった極薄シリコン結晶膜の転写技術の確立において、現状、極薄シリコン結晶膜の剥離領域が小さいため、剥離領域を拡張できる技術を引き続き検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の課題である極薄シリコン結晶膜の剥離領域の拡張に関して、次年度では高濃度の酸化グラフェン分散溶液と多層グラフェン分散溶液で比較し、極薄シリコン結晶膜の剥離の最適な条件を見出す。次いで、剥離状態を改良した極薄シリコン結晶膜に対してナノワイヤ構造への改質およびナノワイヤ構造へのPEDOT:PSS層の被覆を行い、極薄フレキシブル太陽電池を作製する。作製した太陽電池に対して、ナノワイヤ構造へのPEDOT:PSS層の浸透度と発電効率の関係を分析し、浸透度に対するキャリア生成量と輸送機構を明確化することで極薄シリコンナノワイヤ膜へのPEDOT:PSS層の被覆技術を確立する。
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Research Products
(4 results)