2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K04893
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
横田 一道 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50633179)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田部井 陽介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40555083)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ポアデバイス / 1細胞 / 細胞計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、本研究で開発するポアデバイスの設計最適化のためのシミュレーションと、シミュレーション結果に基づいたデバイス試作、および試作デバイスを用いた原理検証実験を行った。ポアデバイスでは、測定対象に対するポアの幅や長さが計測の精度や効率に影響する。ポア構造をはじめとするデバイス設計最適化について、有限要素法によるシミュレーションをまず行った。本研究で注目する1細胞物性の一つである、細胞の変形性をシミュレーションするためには、溶液中の細胞がポアを通過する際の構造変化を計算する必要があり、そのために流体構造相互作用を含めた有限要素法のシミュレーションモデルを構築した。シミュレーションで得られた細胞構造のポア通過時間依存性をもとに、ポアデバイスによって測定される電流値を解析的に算出し、細胞変形とポアデバイスによって得られるシグナルとの相関を計算した。以上のシミュレーション結果から、ポア多段化だけでなくポア構造そのものの最適化によっても、目的とする物性の評価指標を得ることが可能なことを見出した。得られた結果をもとにポアデバイスを試作し、計測対象として血球細胞を用いたポアデバイスによる計測を行った。計測対象の血球細胞の顕微鏡観察、顕微鏡観察下での電流波形の同時計測を行うことによって、シミュレーション結果を良く再現する計測結果を確認した。以上の結果から、本研究の目的である1細胞物性計測について、これまでのサイズや表面電荷に加えて、細胞の変形性がポアデバイスによって計測可能であることの原理実証に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はデバイス設計最適化と、最適化デバイスによる血球細胞を用いた物性計測の原理検証実験を行った。多段化構造の最適化や複数種の細胞で検証については、更なる検討や追加の検証が必要であるが、シミュレーションモデルの構築と、シミュレーションをもとにしたポア構造自体の最適化によって、目的とする細胞物性の評価が可能になったことは想定上の成果であり、総合的におおむね順調に進展しているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は最適化したポアデバイス構造をもちいて多段化についての更なる検討を行うとともに、単球由来のTHP-1細胞や接着細胞を用いた複数種の細胞を用いた評価を行う。また、蛍光計測から細胞物性の変化を評価可能な蛍光試薬を用い、ポアデバイスによる評価結果との比較実験を行うことで、本手法の有用性の検証も実施する。
|
Causes of Carryover |
本年度調達予定であった、有限要素法シミュレーションソフト・COMSOL Multiphysicsを所属機関の別予算での調達が可能になった。当該ソフトウエアの更新料および、翌年度で当初計画に加えて実施する予定の蛍光観察における試薬等の購入に使用予定である。
|
Research Products
(6 results)
-
-
-
-
-
-
[Presentation] マイクロポアデバイスを用いた酵母検出と識別2022
Author(s)
横田一道, 竹尾麻恵, 安部博子, 黒川雄司, 橋本宗明, 梶本和昭, 田中正人, 村山さなえ, 中島芳浩, 谷口正輝, 片岡正俊
Organizer
第83回応用物理学会秋季学術講演会