2022 Fiscal Year Research-status Report
単一半導体マイクロ結晶の光共振器特性の詳細評価と発振特性の解明
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22K04895
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
酒井 優 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10371709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東海林 篤 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40392724)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | WGM発振 / マイクロディスク |
Outline of Annual Research Achievements |
結晶成長で作られる窒化ガリウムの六角形ディスク状マイクロ結晶は、それ自身が結晶面により構成される正確な六角形構造に起因する光共振器特性を有することに加えて、利得媒質であることから、微小レーザー光源としての応用が期待されている。これまでの研究で、共振器に起因するレーザー発振が観察されているが、発振モードやモード選択の詳細は明らかになっていない。本研究では、単一半導体マイクロ結晶であるGaNマイクロディスクにおいて観察される光共振器発振について、新しい測定手法を導入して多方面から評価することでその詳細を解明することを目的としている。令和4年度は、温度依存性測定、周回方向測定、偏光測定、FDTD計算を行った。 温度依存性測定では、EB描画及びエッチングにより作製した円形・六角形・四角形状の各マイクロディスクに対して光励起発振の特性評価を行い、特に円形と六角形において良好な発振特性を示すことを確認した。 周回方向測定と偏光測定では、六方晶及び立方晶の自己形成六角形状GaNマイクロディスクに対して光励起発振の評価を行った。周回方向測定においては、周回型光共振器発振における周回方向特性について、これまで確認されていた六方晶における特性と同様の特性を立方晶において初めて確認した。また、偏光測定においては、六方晶及び立方晶の光発振における偏光特性が、群論に基づくGaNの発光選択則を反映していることを明らかにした。 FDTD計算では、周回方向が偏る起源についての知見が得られつつある。 以上のように、本研究は順調に進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、①温度依存性測定、②散乱型SNOM測定、③周回方向測定、の3つを柱に、④FDTD計算を組み合わせながら研究を推進する計画で、これらの測定手法を有機的に組み合わせることで、GaNマイクロディスクにおけるWGM発振の発振モード及び基本的な物理を明らかにすることを目指している。 令和4年度は、①温度依存性測定、③周回方向測定、④FDTD計算に着手し、多くの測定結果が得られていることに加え、当初計画には無かった⑤偏光測定を発案して実施することが出来、③周回方向測定の測定結果を強力にサポートする知見が得られた。一方で、⑤偏光測定を優先したため、②散乱型SNOM測定が実施できなかったが、これは令和5年度に優先的に実施する予定である。 以上より、当初計画とはやや異なるが、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、複数の測定手法を組み合わせて、GaNマイクロディスクにおけるWGM発振の発振モード及び基本的な物理を明らかにすることを目指している。測定手法としては、当初計画していた①温度依存性測定、②散乱型SNOM測定、③周回方向測定、④FDTD計算、と令和4年度に加えた⑤偏光測定の計5つを計画している。 令和5年度は、令和4年度に実施できなかった②散乱型SNOM測定に優先的に取り組み、5つの測定手法を組み合わせた解析が実現できるプラットフォームを構築する。 令和5年度から令和6年度にかけては、1つのマイクロディスクに対して複数の測定手法を用いて多方面から光共振器特性を評価し、マイクロ結晶特有の発振モードの解明につなげることを目指す。
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Causes of Carryover |
本研究は、当初計画では、①温度依存性測定、②散乱型SNOM測定、③周回方向測定、④FDTD計算を組み合わせることで、GaNマイクロディスクにおけるWGM発振の解明を目指していた。しかし、令和4年度は当初計画には無かった⑤偏光測定を発案し実施したため、②散乱型SNOM測定に着手できなかった。また、①温度依存性測定についても、他の測定を優先したため、当初計画していた試料の粗動機構の構築を保留していた。①温度依存性測定の測定系構築の一部と、②散乱型SNOM測定の測定系構築及び測定が出来なかったため、次年度使用額が生じた。 令和5年度は、次年度使用額と翌年度分の助成金を合わせて、令和4年度に実施できなかった①温度依存性測定の粗動機構の構築及び測定、②散乱型SNOM測定の光学測定系構築及び測定、またそれ以外の測定手法による測定を実施する計画である。
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Research Products
(3 results)