2023 Fiscal Year Research-status Report
弾性体鋳型が誤差を自己補正する樹脂薄肉加工法の確立と、細胞解析デバイスへの応用
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22K04898
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山平 真也 京都大学, 生命科学研究科, 特定講師 (70750652)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 樹脂成形 / 微細加工 / 薄肉加工 / PDMS / 細胞解析デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、弾性体鋳型が変形によって寸法誤差を自己補正することにより熱可塑性樹脂の薄肉加工を可能とする技術を、段階を踏んで発展させ、任意の形状を成形し、望みの部分を薄肉加工できる技術として確立することを目的とする。まず、流路形状などのマイクロデバイスの基本的な構成要素の薄肉加工法の確立を行う。次に、得られた鋳型と成形物等のデータを基に、薄肉部分を有する構造物を作製するための鋳型や加工プロセスのシミュレーション方法を策定する。また、上記技術を用いて開発したデバイスの細胞解析への応用を行う。 令和5年度は、前年度に確立した光造形3Dプリンターを用いた自在な形状のPDMS鋳型作製方法を用い、研究計画に基づき細胞実験用の薄肉底面培養器を作製した。3Dプリンターで作製した樹脂製鋳型を80℃48時間加熱して、モノマーを完全に反応させた後、PDMSエラストマーを注型することで硬化不良を起こすことなく、PDMSの凸鋳型を作製することができた。これを、ポリカーボネートの板に高温高圧で押し付けることにより、薄肉ウェルプレートを作製することができた。一方、3Dプリンターの積層痕が転写されたと考えられる疵が底面に観察され、顕微鏡観察などの細胞実験には不適と考えられた。鋳型積層痕の研磨等による除去方法を検討中である。そこで、本研究当初の作製方法に立ち返り、治具上のPDMS膜を空気圧により変形させ、そこにエラストマーを注型して作製したPDMS凸鋳型で、滑面を有する細胞実験用薄肉ウェルプレートを作製した。光によって細胞を捕捉する光活性化PEG脂質をコートし、直径18μmのスポット光をフォトマスクで照射したところ、薄肉構造に由来する優れた光学特性によりヒト膵がんオルガノイドの1細胞アレイを作製することができた。本プレートでは、1細胞から中空形状のヒト膵がんオルガノイドに増殖する様子が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3Dプリンターで作製した樹脂製鋳型を適切に処理することにより、任意の形状のPDMSを作製し、これを鋳型とした熱プレス加工により熱可塑性樹脂をおおよそ目的の形状にすることが可能となった。これまでに、曲面を有する凸型や、矩形形状など、種々のデバイスを構成する要素の作製が確認されている。また、本研究当初の作製方法ではあるが、薄肉の培養容器を作製し、生体内に近い性質を有するがんオルガノイドの1細胞からの培養(クローニング)にも成功した。一方、様々な鋳型形状や熱プレス加工条件による成型と、実際の成形物の形状、特に樹脂の肉厚との関連付けに関する実験がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度中にデバイス作製における基本的な要素を任意の形状において、おおよそ成形することが出来るようになった。また、作製した薄肉デバイスの細胞実験への応用も達成した。令和6年度は残る目標として、弾性体鋳型の形状や熱プレス加工条件と、実際の成形物の形状、特に樹脂の肉厚との関連付けやシミュレーションに注力することで、作製したい成形物から鋳型や加工条件を逆算可能とし、本技術の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
令和5年度の後半より、研究室の閉鎖と異動の準備のために、流体解析ソフトウェア(プロメテック・ソフトウェア株式会社、700,000円)の購入、および様々な鋳型形状や熱プレス加工条件の検討のための大規模な成型実験を見送ることとなった。その為、備品費や、消耗品費が大幅減額となった。一方、令和6年度は、異動先における環境整備や上記の備品購入、大規模な成型実験を実施する予定であり、備品費や消耗品費などの増額が想定される。
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