2023 Fiscal Year Research-status Report
レアメタルを用いない透明導電性薄膜の結晶性改善に関する研究
Project/Area Number |
22K04910
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山口 博之 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (80261866)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 電界 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェンは高性能なフレキシブル電子デバイスへの応用が期待される。工業応用に有力な作製方法として、絶縁基板上に塗布し直接成膜できる酸化グラフェン(GO)還元法に注目している。ただ酸化グラフェン還元法で得られる還元型酸化グラフェン(rGO)は、膜質や導電性において、さらなる改善が求められている。これまでに我々のグループでは、還元前に酸化グラフェン塗布液を1kV/cmまでの電界下で乾燥固化させることで、電気伝導率を改善してきた。今回は乾燥固化時の印加電界をさらに高めることで電気伝導率の更なる改善を図り、結晶性と絡めて議論した。電界印可用の電極を作製し直して7kV/cmまでの電界を放電せずに安定して印加できるようにした。そのうえでGO塗布液を7kV/cmまでの異なる電界下で乾燥固化したのち、還元処理で得られたrGO薄膜の物性を評価し、以下の結果を得た。印加電界を7kV/cmまで上げるのに伴い、rGO薄膜の電気伝導率は1400S/cmから1800S/cmまで緩やかに単調増加した。ホール効果測定結果は、キャリア濃度は印加電界にあまり依存せず、キャリア濃度が印加電界の増加に伴い向上することを示した。これは乾燥固化時の電界印加が、結晶性、あるいは配向性を高めることで電気伝導率を増加させた可能性を示唆する。さらに、ラマンスペクトル測定結果におけるG/D比は、印加電界の増加に伴い、緩やかに増加した。これらは乾燥固化時電界印加により、rGO膜の欠陥や構造乱れが抑制される可能性を示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高周波かつ高強度の電界を乾燥時に印加し、周波数依存性を評価する予定であるが、まだ高電界パルス制御回路装置が出来上がっていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
高強度で高周波の電界を印加するために、リードリレーを用いて矩形波の高電界を印加できるように、制御回路をいそぎ作製、動作確認後、高電界パルス下での成膜・評価を行い、導電性能の周波数依存性を検討する。
|
Causes of Carryover |
高強度高周波電界印可用のパルス制御装置を準備できなかったので、次年度に予算をまわしてこれを製作、高電界パルスを印加して成膜を行う。
|
Research Products
(1 results)