2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K04917
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 憲慈 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10732985)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 単分子 / 単原子 / グラフェン / 収差補正透過型原子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では申請者がこれまでに進めてきた単原子スパッタリング法を応用し、金属酸化物の単分子分散体を作製し、収差補正透過型電子顕微鏡(TEM)による原子分解能イメージングと第一原理計算により原子配置と単分子特有の電子状態を明らかにすることを目的としている。これまではプラズマスパッタリングを用いたPt単原子の分散体の作製に成功し、収差補正TEMを用いてPt元素同定と原子分解能イメージングを達成した。本年度は酸化チタンをターゲットとして用いたRFスパッタリングによる単分子化の検証と酸素単原子の同定手法開発を行った。酸化チタンの単分子化に関しては、RFスパッタリング時の条件探索を行い、一部の領域についてグラフェン表面にチタン原子が単原子化されていることが確認できた。単原子化の確認は収差補正STEMの実像によって行った。しかし、酸化物を形成する酸素原子の同定はできなかった。酸化チタンが単分子としてスパッタリングできていればチタン原子に酸素原子が隣接するはずであるが、実像の解析では酸素原子が判別できず、EELS測定によっても単原子の検出はできなかった。グラフェン上のチタン原子はTEM観察中の電子線照射により表面を拡散してしまうので、元素同定が困難であった。観察中に酸素単原子の検出に関しては、酸化グラフェンの原子分解能イメージング、EELS測定を行い、酸化グラフェン中に含まれる酸素単原子の検出に別途成功しているので、酸化グラフェン測定の条件を参考に今後チタン原子に酸素が隣接しているかの検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化チタンをターゲットに用いたRFスパッタリングによってチタン原子が1原子単位で分散していることが確認できた。酸化物として単分子分散できているかどうかを今後検証する。現在までに調整したスパッタリング条件ではチタンが1原子状態で形成できているのはスパッタリング領域の一部であり、スパッタリングされた多くのチタン原子は互いに凝集し、ナノ粒子を形成していたが、今後は単原子率を高めるための条件最適化を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は得られたチタン単原子に対して収差補正TEMによる原子分解能イメージングを行い、グラフェン上でのチタン単原子の原子配置を明らかにする。別途酸素単原子の検出手法を開発し、酸化チタン単分子として存在しているかを明らかにする。原子配置が明らかになったあと実験で得られたチタン、炭素、酸素のEELSスペクトルを解析する他に、原子配置を基にした第一原理計算と組み合わせてグラフェン上に形成した酸化チタン単分子の電子状態を明らかにする。
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Causes of Carryover |
論文作成が当初よりも遅れ、英文校正費、論文投稿費に余剰が生じたが、すでに論文準備を進めており、次年度早々に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)