2022 Fiscal Year Research-status Report
Growth of low dislocation density indium oxide single crystal layer to elucidate intrinsic electron mobility
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22K04947
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
後藤 健 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50572856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 義直 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 卓越教授 (20313306)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酸化インジウム / ワイドバンドギャップ半導体 / 高移動度半導体 / III族セスキ酸化物 / ハライド気相成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
III族カチオンにインジウム(In)を用いたIII-V化合物半導体は、アルミ(Al)やガリウム(Ga)をそれとしたものと比較して極めて高い電子移動度を有することが明らかにされているため、その特性を活かして高速動作や低抵抗な電子デバイス用材料として用いられている。 III族セスキ酸化物に関しては、Gaをカチオンとした酸化ガリウム(Ga2O3)固有の電子移動度が200 cm^2/Vsと明らかにされている一方で、Inをカチオンとした酸化インジウム(In2O3)のそれは未知である。ハライド気相成長(HVPE)法を用いてサファイア基板上に成長したIn2O3は、結晶中の転位密度が10^10 cm^-2と高いながらも電子移動度は約230 cm^2/VsとGa2O3よりも高い値を示す。しかし、材料固有の移動度はいまだ明らかになっておらず、In2O3のデバイス材料としてのポテンシャルは未知数のままである。本研究では転位密度が極めて低い高純度なIn2O3単結晶薄膜を成長し、本質的な物性を明らかにすることを目的としている。他材料の傾向から、室温における材料固有の移動度は結晶中の転位密度がおよそ10^8 cm^-2程度まで低減されることで明らかになると類推できるため、これを具体的な数値目標とし研究を進めている。 当該年度では、サファイア基板とIn2O3成長層の間に中間バッファ層としてスズ添加In2O3(ITO)をスパッタ成膜し、その成膜条件がIn2O3成長層の結晶品質に与える影響を調査した。400℃で30 nm堆積したITO膜を用いた場合、結晶方位のバラつき(ツイスト角)が抑制されることが見出され、転位密度の低下が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ITOのスパッタ成膜に適したサイズのオフカットサファイア基板の入手に時間を要したため、実験(条件検討)着手が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
ITO膜が導電性であるため、それを中間バッファ層として使用すると、ホール効果測定によるIn2O3成長層のみの電気特性評価が困難であると判明した。ITO膜の使用は結晶性の向上には効果を示したが、電子移動度の評価のためには使用を避けたい。そのため、HVPE成長炉内で高純度In2O3をバッファ層として堆積する方法を検討し、温度や堆積時間をパラメータとして転位密度低減に有効な条件を調査する。 並行して、パターン加工されたサファイア基板の使用についても検討を進める。GaN系LED用に市販されているものの中から、様々な形状・サイズ・配置・密度の選定し、結晶性向上に有効なパターン加工基板を見出す。 バッファ層やパターン加工基板の条件検討と並行して、In2O3成長層の電子移動度をホール効果測定を用いて評価する。転位密度に限らず、バッファ層の堆積条件や加工パターンが電気物性に与える影響を含めて、高い電子移動度を達成するための条件を総合的に調査する。 目標とする低転位密度In2O3成長層が得られた際にデバイス特性評価を円滑に行うため、転位密度は高いながらもこれまでの実験で得られるた高純度In2O3単結晶層を用いて、デバイスプロセスを確定する。
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