2023 Fiscal Year Research-status Report
Nanoporous silicone monoliths for anisotropic spectroscopic optical scattering media
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22K04969
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
興 雄司 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10243908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 宏晃 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (20706882)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シリコーン / 低屈折率化 / ナノポーラス / ナノフォーミング / エマルジョン / 異方性光散乱 / 可変光散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
前倒しで1年目でサブミクロンの気泡生成に成功したため、本年度は気泡の直径制御と、そのばらつきを改善するための研究を行った。主に気泡生成メカニズムのモデリングを行うための調査研究を行った。 プロセスのはじめに、相当量(10%)の水を混合し、遊星撹拌でエマルジョンする方法では、エマルジョン後の高濃度の水泡の動きを、光学的に観察することが難しい。さらにPDMSでは水のエマルジョンは白化するため、光学観測は不可能である。そこでインクジェットを利用してミクロンサイズの水滴を少量ずつPDMSに注入して、その動きを顕微観察した。その結果、IPAの導入されている水泡は互いに反発することで再凝集が妨げられる様子を観測し、エマルジョンにおけるIPAの界面活性の効果としては電気的な再凝集防止が大きく寄与していることを実験的に明らかにした。これにより、エマルジョン作成時に十分に水泡を細分化することが重要で、それにはマトリクス(PDMS)の粘度が関連すると推測し、PDMSに揮発性溶媒であるトルエンを添加してエマルジョン化する方法を試みた。その結果、平均直径が僅かに減少し、さらに、細分化漏れした水泡が減少した。これにより、この方法は、水泡の小サイズでの均質化に効果があることを新たに発見した。これは、撹拌時にはマトリクス(PDMS+トルエン)の粘度が小さく、安定時にはトルエンの蒸発に伴い粘度が上昇することで、再凝集が更に抑えられる、という気泡生成モデルで説明できる。最後に、水エマルジョン化時にPDMSが白化する現象において、上述のモデルが明らかになってきたことにより、従来よりの解釈で説明できないことが示唆された。つまり「水(水蒸気)を含んだPDMSの白化には、ボイドに凝集した水泡が大きく関与する」という解釈は、本研究で示されている水泡の挙動と一致しない。これについては今後も調査・考察していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度でサブミクロンサイズの気泡生成が確認されたこともあり、本年は生成気泡の直径の均一性を向上させること、およびその生成メカニズムのモデル化に注力した。さらに、これまで報告されていなかった揮発性溶媒の添加を試み、気泡サイズの安定に寄与することを初めて明らかにした。同時に、この発案の元となった、今年の成果であるエマルジョンプロセスのモデルについても、その有効性を補強するデータを得ることができた。以上の点において、十分に当初予定された目標を達成していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現状ではPDMSの白化が水による水疱形成が主要因でないことは明らかになったが、そのため、水を用いた液体の気泡部への導入についても問題が生じる。そこでエチレングリコールを用いて、液体導入を行っていく予定である。 また、低屈折率化についても補強する研究を行いたい。
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