2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Complex Solar-Cavity for Solar-Pumped Laser
Project/Area Number |
22K04973
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
大久保 友雅 東京工科大学, 工学部, 准教授 (50431995)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | サステイナブル工学 / エネルギー変換 / 再生可能資源・エネルギー / エネルギー生成・変換 / 自然エネルギーの利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽光励起レーザのための集光系として,一次集光系であるフレネルレンズで集光された太陽光を更にレーザ媒質へと集光する太陽光キャビティの開発を行っている.2022年度は,新しく複合放物面型集光器を利用した太陽光キャビティの開発を行った. 従来の太陽光キャビティでは,太陽光をレーザ媒質へと再集光するために内部で多重反射するように設計していたが,反射時に太陽光キャビティに吸収されてしまう反射損失が課題であった.そこで本研究では,従来型のレーザ媒質の長軸方向がフレネルレンズの光軸と一致する形ではなく,レーザ媒質の長軸方向がフレネルレンズの光軸と直行する配置とした.レーザ媒質はφ6×50 mmとし,この円形の断面が複合放物面型集光器の焦点に来るようにした.この形状にすることにより,フレネルレンズで集光した太陽光を太陽光キャビティ内での少ない反射回数でレーザ媒質に再集光することを目指した. フレネルレンズの光軸方向をzとし,それに垂直な方向をyとすると,複合放物面型集光器の断面形状はz = -d(y±l)^2/((L/2)-l)+dと表現できるため,L,l,dを変化させてレーザ媒質への太陽光の吸収効率が高くかつ反射損失が低い形状を模索した. その結果,L=30 mm, l=0 mm, d=25 mm において,反射損失を従来の15.5%から12.5%まで低減できることが分かった.ここで,l=0 mmであることから,本研究で検討した複合放物面型集光器は事実上単純な放物面が最も反射損失を低減できることがわかった. また,それ以外にも楕円を用いた太陽光キャビティや,光軸に垂直な断面に複数の放物線を持つM-CPC型と名付けた新しいキャビティの提案を行い,それぞれレーザー媒質の光軸に平行な吸収パワー密度および垂直な吸収パワー密度の分布を部分的に平滑化できる設計を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複合放物面を用いた太陽光キャビティについての検討を完了し,反射損失の低減も確認できた.更に,楕円を用いた新しい太陽光キャビティや,M-CPC型太陽光キャビティを提案し,レーザー媒質の吸収パワー密度分布の部分的な平滑化にも成功しており,特に問題は無いと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に開発した太陽光キャビティは主に反射をターゲットにしたが,今後は反射・屈折・透過・波長選択を組み合わせた従来の物とは全く異なる非結像型集光系を開発するために,大きく下記の2つのステップに分けて,高効率なキャビティについて明らかにする必要がある. 1.光線追跡を用いた数値計算と非線形最適化手法を組み合わせる事により,各要素の各パラメータの最適値を見出す. 2.算出されたパラメータから太陽光励起レーザーを実装し,実証・計算へのフィードバックを行う. 本研究では,吸収効率の向上と共に,均一な励起も目的の一つである.これらを実現するために,研究代表者がこれまでの研究で作成した非線形最適化の数値計算コードを拡張し,各要素のパラメータを最適化し,総吸収パワーを最大化し,吸収パワー密度分布を平滑化する設計を出来るようにする.これにより,各要素のパラメータの内の何が集光効率や集光分布の均一化に大きく寄与するのかを明らかにする.その後は,計算コードによって算出された太陽光キャビティ及びそれに合うレーザー媒質を試作し,実際の太陽励起レーザー装置に適用して評価を行う.この際,媒質が配置されている部分での吸収パワー密度分布の計測を行い,数値計算コードの妥当性を検証し,その実験結果をフィードバックして設計コード自体を更に最適化する. 以上の手順により,最終的には従来の世界記録である31.5W/m^2を超える40W/m^2以上の効率が得られる出力40W級の太陽励起レーザーシステムの開発を目指す.
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Causes of Carryover |
2022年度は太陽光励起レーザ装置の改良に時間を費やしたことと,数値計算コードの開発が順調に進んだためにそれを用いた検討を数多く実施したことと,参加を予定していた中国で開催予定だった国際会議が延期になってしまったという3つの理由により,支出を予定よりも大幅に抑えることが出来たため,次年度使用額が生じた. 今後は太陽光励起レーザ装置を用いた実験を実施して行く予定であるため,当初予定していた装置や部品を調達することにより研究を推進する予定である.また,国際会議への出席も積極的に行っていく予定である. 具体的には,装置・物品調達115万円,国内会議参加旅費10万円,国際会議参加旅費50万円,研究補助費50万円を予定している.
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Research Products
(7 results)