2022 Fiscal Year Research-status Report
高い安全性を有する放射性廃棄物ゼロエミッション溶融塩炉原子力システム実現への挑戦
Project/Area Number |
22K04980
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相澤 直人 東北大学, 工学研究科, 助教 (70707033)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍戸 博紀 東北大学, 工学研究科, 助教 (90827792)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 溶融塩炉 / 核変換 / 炉心設計 / 長寿命核分裂生成物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原子力プラントで発生する放射性核種を同一プラント内ですべて核変換し、放射性廃棄物の排出を極小とする自己完結的な高い安全性を有する原子力システムの実現を目標として、運転中に燃料塩の調整・生成元素の連続除去が可能な溶融塩炉原子炉システムを対象に2022年度は以下の検討を行った。 1.溶融塩炉原子炉システムの設計を行うにあたり、炉心核設計のための解析環境の整備ならびに溶融塩物性解析のための解析ツールの整備を行った。また、溶融塩組成の検討にあたり、溶融塩に溶かすための元素特性の基礎検討を開始した。 2.溶融塩炉炉心の核設計として、過去に米国オークリッジ国立研究所にて建設および運転経験のあるフッ化物溶融塩実験炉MSREの炉心を元に、ウラン燃料溶融塩および黒鉛減速材ブロックを用いた無限燃料セル体系を用いて、これまでに溶融塩炉における核変換研究が行われてこなかった長寿命核分裂生成物(LLFP)を対象として、溶融塩炉の運転中において生成したLLFPが自己完結的に核変換可能かどうか検討を行った。その結果、黒鉛減速材ブロック中にLLFPの核変換のための専用流路を設けた燃料セル設計において、専用流路の大きさを変更することによって運転中のLLFP生成量と同量もしくは生成量を上回るLLFP核変換が実現可能であることが示された。また、LLFP核変換用専用流路の導入によって低下する反応度についても、ウラン濃縮度を増加させることによって補償可能であることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
溶融塩物性解析のための解析ツールの整備が遅れたために、溶融塩炉の物性解析に遅延が生じている。また、溶融塩炉に溶かすための放射性廃棄物元素の物性検討に時間を要している。一方で、フッ化物溶融塩炉における核変換検討については、当初予定を上回る進捗を示している。
|
Strategy for Future Research Activity |
溶融塩炉に溶かすための放射性廃棄物元素の物性検討を進めるとともに、2022年度に整備した溶融塩物性解析ツールを使用して、溶融塩炉に採用可能な溶融塩炉組成の検討を行う計画である。溶融塩炉炉心設計については、2022年度に実施したフッ化物燃料に基づく燃料セル体系による解析を発展させ、全炉心設計を行うとともに、塩化物溶融塩燃料についても検討を行う計画である。
|
Causes of Carryover |
解析用計算機の購入費用が当初予定より減少し、旅費についても安価で済んだためである。 これらの差額は、次年度に旅費・その他として使用予定である。
|