2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of in-situ hardness measurement method in high dose rate field
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22K04988
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 文信 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (40332746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 庸子 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50452470)
真鍋 勇一郎 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (50533668)
加田 渉 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (60589117)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 福島第1原発廃炉作業 / 硬さ測定 / 高線量率場 / 耐放射線性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高線量率放射線場における硬さその場測定技術の開発をおこなう。福島第1原発格納容器内の燃料デブリをはじめとする堆積物の取出しを行うために開発すべき技術は多くあるが、そのうちのひとつに、堆積物の硬さをその場で測定する技術が必要となっている。通常の硬さ測定法は、高い線量率のために使用できない。そこで、本研究で開発するシステムはロボット機構・センサ部と遠隔制御部に分離され、ロボット機構・センサ部では半導体素子を用いずに、耐放射線性の高い電子部品と機械部品によるシンプルな構造により耐放射線性を持たせている。そして、ロボットがドリルで切削しながら対象物に接触するというシンプルな機構を基本としながらも、接触による力学的な触覚情報を数値化し、機械学習により硬さ評価を行う技術の概念実証を行う。 2022年度では、各種材料を細ドリルで切削するときのドリル先端の位置、ドリルと材料間での反発力、モーターの回転数、モーターの電力情報を同時に得られる硬さ測定システムの試作機を製作した。その硬さ測定システムを用いて、各種材料(アルミニウム、銅、真鍮、鉄鋼、コンクリート、セラッミクス(窒化アルミニウムなど)等)の切削データを取得した。それらのデータについて、機械学習のクラスタリングのひとつである勾配ブースティングをもちいて、材料の判別が可能かどうか調べた。勾配ブースィングによる未知材料の推定では、第1または第2候補として、正しい材料を推定できていることがわかり、分類について、ある程度の見通しを得ることが出来た。しかし、学習データ以外の材料では、どのような推定をするのかなど、調査すべき事は幾つか残っている。今後は、様々なデータを増やし、硬さ測定システムとクラスタリングに関する詳細な考察を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度では、各種材料をドリルで切削した時のドリル先端位置、ドリルと材料間での反発力、モーターの回転数、モーターの電力を測定するための硬さ測定システムを設計し、硬さ測定システムの試作機を製作した。システムはロボット機構・センサ部と遠隔制御部に分離され、ロボット機構・センサ部では半導体素子を用いずに、耐放射線性の高い電子部品と機械部品によるシンプルな構造により耐放射線性を持たせている。例えば、ドリルの回転数を測定するために、回転エンコーダを利用せずに、小型発電機から算出し、ドリルと材料の反発力を測定するために、油圧アクチュエータを利用している。これらの機構により遠隔操作においても、高線量率場下で切削情報を得ることが出来る設計となっている。さらに、硬さ測定システムの試作機をもちいて、その性能評価を開始した。 しかしながら、新型コロナウィルスやウクライナ・ロシアの戦争の影響で、機構部品や電気部品が生産延期されているものが多々あり、2022年度中に幾つかの部品が入手出来ずに、スケジュール通りに進まなかった実施項目もあった。それらの理由により、予算のうち156,938円の未使用が生じた。この未使用額については、2023年度に研究計画の一部を見直し、そのために使用する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、高線量率場で動作可能な硬さその場測定システムの試作機を製作して性能試験を行い、技術の概念実証をおこなう。具体的な主な項目は以下である。①ロボット機構・センサ部と制御部に分離された硬さその場測定システムを製作する。②センサ部から得られる情報から、機械学習等で硬さを分類するアルゴリズムを開発する。③製作したシステムのガンマ線高線量場における動作試験をおこなう。④燃料デブリ、堆積物の模擬試料を用意し、硬さその場測定システムの有効性を調べる。①、②については、2022年度に開始しており、ある程度の見通しを得られており、2023年度も継続する。③については、2023年度に、大阪公立大学の放射線研究センターのコバルト60ガンマ線照射場を利用して、高線量率場における硬さ測定システムの動作試験を行う予定である。コバルト60ガンマ線照射場試験では、遠隔操作を行うため、ケーブルやデータ測定機器の準備が必要である。ガンマ線照射試験については、これまでの知見により、大きな問題が発生することは考えにくいが、必ず実施すべき項目のひとつである。また、④については、最近の福島第1原発の一号機のROV調査結果により、ペデスタル内部でコンクリート壁の崩落が見つかっており、ペデスタル底面の堆積物についてもその性質が十分にわかっていないため、熱・化学分解された種々のコンクリート試料を用意することも検討する。これらについては、情報を収集しながら進める。
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Causes of Carryover |
社会情勢上生産延期されている部品等があり、未使用額が生じた。これによる未使用額については、購入可能物品を再検討の上、当初目的を達成できるよう引き続き物品費に充てる。
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