2022 Fiscal Year Research-status Report
Desorption of CO2 from amine solutions at low temperature using difference of adsorption rate and desorption rate for CO2 under ultrasound irradiation
Project/Area Number |
22K04997
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大川 浩一 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (00375221)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 二酸化炭素 / 脱離 / 超音波 / アミン / CCS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は二酸化炭素(CO2)を吸収したアミン水溶液に超音波を照射することで、低温にてCO2を脱離させることを目的とした研究である。超音波によるCO2の脱離は、無機炭素イオンの中で、溶存二酸化炭素(CO2(aq))に対して効果的であり、CO2(aq)を速やかに気体の二酸化炭素(CO2(g))に変化させ溶液外へ放出する。そのため、吸収したCO2をCO2(aq)として存在させることが重要になる。そこで、カルバメートイオンを形成せずに、無機炭素イオンの状態でCO2を吸収することができる第三級アミン水溶液との組み合わせを検討した。無機炭素イオンの形態はpHによって変化するため、酸解離定数(pKa)に注目して、いくつかの第三級アミンを選択した。トリエタノールアミン(TEA)はpKaが7.85であり、この5.0Mの水溶液 (200mL)に対して高純度CO2を圧入(0.1, 0.3, 0.5MPa, 17h, 20-25℃)した後、超音波照射 (28kHz, 200W)もしくは撹拌 (1500rpm)を20℃で30分行いCO2脱離率を比較した。超音波と撹拌を用いたCO2脱離率は、それぞれ、0.1MPaで15.3%と2.1%, 0.3MPaで40.6%と2.2%, 0.5MPaで54.4%と21.7%であった。圧入時の圧力が高いほど、脱離率が高い値となったが、これは圧入後の溶液のpHが低下し、CO2(aq)の形態が増えたと考えられる。これら結果から、超音波の利用はCO2脱離に効果があることがわかった。次に5.0MのTEA水溶液(100mL)にCO2を大気圧下で流入(100mL/min)しながら超音波を6時間照射した。その結果吸収量は31.5g/Lであり、超音波を使用しない場合は40.2g/Lとなった。TEAがCO2を吸収する際に超音波を照射しても、吸収速度は上がらないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二酸化炭素ガスをアミン水溶液に流入しながら超音波を照射するにあたって、どのくらいの流入量が適しているのかを調査するために時間がかかっているが、おおよそのめどがついたため、流量制御装置を購入し実験を継続する。また、超音波装置も最初想定していた出力のものよりも大きなものの方が良いと思い、他の機種を含め購入を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波照射下における二酸化炭素の吸脱着速度差を利用したアミン水溶液からの二酸化炭素の低温脱離を行う。超音波によるCO2脱離機構は、気泡の生成によるものであるから、照射によりCO2(aq)濃度が減少すると、気泡の生成数は少なくなる。そこで、気泡の種となるものを添加する、もしくは気泡が生成しやすい環境にするなどの対策が必要と考えられる。そこで、1)第三級アミンのCO2吸収速度が遅いことと、2)超音波照射下でCO2脱離速度が速くなることに着目し、その吸脱着速度差を利用して、わずかな量のCO2を種として導入し、CO2脱離量の増進を目指す。CO2導入の最適量をまずは探り、その後、その量で流すことができるマスフローコントローラーを導入する。第三級アミンとしては、CO2吸収時に超音波を照射することで、吸収速度が低下し、吸収量も少なくなったTEAを用いる。
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Causes of Carryover |
実験結果からマスフローコントローラーと超音波発生装置の選定を慎重に行いたく、購入を次年度にすることにしたため。
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