2022 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic higher-order conformational changes control the fluorescence lifetime of fluorescent proteins
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22K05027
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
細井 晴子 東邦大学, 理学部, 准教授 (00313396)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 黄色蛍光タンパク質 / 緑色蛍光タンパク質 / 発光メカニズム / 蛍光寿命 / 会合 / 構造緩和 / 蛍光共鳴エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、すべての蛍光タンパク質に共通する発光メカニズム解明を目指している。本研究では、黄色蛍光タンパク質eYFPでは145番アミノ酸一つが変化するだけで蛍光寿命が大きく変化するが、非常によく似た緑色蛍光タンパク質eGFP(アミノ酸の相同性98%)ではあまり変化しないことに注目する。この事実は、通常説明されるような発色団周辺の水素結合ネットワークなどの局所構造の違いだけでは説明できない。研究代表者は、蛍光タンパク質の会合とピコ秒、ナノ秒のタイムスケールで起こるダイナミックな高次構造変化が、蛍光寿命を変化させていると考えている。本課題では、ピコ秒時間分解蛍光異方性測定により、最もイメージングに用いられるeYFPとeGFPの発光メカニズム、ダイナミックな高次構造変化、 および、発色団周辺の局所的な構造変化の相関を明らかにする。すでに、eYFP野生型の発光メカニズムにおいて、会合が大きな影響を与えていることを明らかにしている。 これまでに、eYFP Y145変異体のピコ秒時間分解蛍光異方性測定が終了している。その結果、145番アミノ酸一つの違いで、異方性が大きく変化することが明らかになった。また、対応するA206K変異体についても測定を行った。A206K変異は、eYFPの会合を抑制する効果をもつ。すべてのA206K変異体の異方性の時間変化が典型的な蛍光タンパク質単量体の挙動を示したことから、eYFP Y145変異体の大きな変化は、会合に由来することが明らかになった。 また、eGFP野生型の異方性の時間変化は、典型的な蛍光タンパク質単量体の挙動に近いことが分かった。つまり、eGFP野生型では、あまり会合が起きていないことを意味する。eYFP野生型とeGFP野生型の寿命はいずれも長いが、その会合状態は異なることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
装置の改良により、時間分解異方性測定の効率化ができたことから、eYFP Y145変異体、および、eYFP A206K/Y145変異体の測定を終了することができた。また、その結果が大きく変化したことから、期待通り蛍光タンパク質の発光過程におけるダイナミックな高次構造変化が起きていることを確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、eYFP Y145変異体の異方性の大きな変化の起源を明らかにするために、濃度依存性やpH依存性を調べる。また、プロトン化状態の違いにより発色団は2種類ある。これまで、蛍光を発するアニオン型に注目してきたが、蛍光を発しないニュートラル型の影響もあることが示唆される結果が得られている。そこで、ニュートラル型のダイナミクスも併せて検討する予定である。 さらに、eGFP Y145変異体についても同様の実験を行う。得られた結果から、eYFPとeGFPについて、会合状態の違い、高次構造とダイナミクスの違いが、どのように寿命を決定しているのかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
現有の試薬や消耗品を利用し、物品費の購入が抑えられたため、次年度使用額が生じた。令和4年度の未使用額と令和5年度の交付額を合わせた金額は、物品の購入、学会発表に係る旅費、論文投稿に係る英文校正料等に使用していく予定である。
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Research Products
(4 results)