2022 Fiscal Year Research-status Report
Lithium-Ion Transport Mechanism in Carbon Nanotubes: A Central Role of Flexible Quantum States
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22K05046
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
安東 秀峰 山形大学, 理学部, 講師 (00754946)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナノチューブ / フラーレン / リチウムイオン伝導 / 電子状態 / 核波動関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,チューブ径は似通うが幾何学的構造と導電性の異なる金属型及び半導体型カーボンナノチューブ(CNT)に注目し,細孔構造と電子状態の違いがチューブ内のリチウムイオン伝導に与える影響の理論的解明を目指している.本年度は金属型及び半導体型CNTのスーパーセル・モデルを構築し,周期境界条件を課した密度汎関数計算を実施した.同様の密度汎関数計算を多数実施することで,独自開発した理論プログラムを次年度に適用し,リチウムイオンの量子力学的運動(核波動関数)を明らかにできる.現在,CNTの対称性(空間群)を正確に反映したスーパーセル・モデルの構築に取り組んでいる. また,独自開発した理論プログラムの妥当性を検証するため,CNTの類似体であるフラーレンに着目した.フラーレン骨格中に束縛された内包リチウムイオンについて細孔内ポテンシャルや分子間相互作用,核波動関数を計算し,それらの関連を精緻に明らかにした.加えて,内包リチウムイオンの細孔内運動を反映する物理量としてテラヘルツ域吸収スペクトルを計算し,実験結果をよく再現できた.この研究成果は英国王立化学会が発行するPhysical Chemistry Chemical Physics誌に掲載され,2023年の注目論文(PCCP HOT Article)にも選出された.リチウム内包フラーレンの計算を通して本研究課題の理論的アプローチの有用性に確かな手応えを得た.今後,CNTに同様の理論的アプローチを適用する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周期境界条件を課した密度汎関数計算の技術習得等に当初予想よりも時間を要したが,概ね技術的な課題は克服した.類似系のリチウム内包フラーレンに関する研究で良い成果が上がっていることから,CNTに関しても次年度の目標を変えずに計算を遂行できると見込んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
密度汎関数計算を多数実施することで細孔内ポテンシャルを評価し,これを修正モース関数によりモデル化する.このモデルに独自開発した理論プログラムを適用することで,リチウムイオンの核波動関数とテラヘルツ吸収域スペクトルを計算する.
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Causes of Carryover |
新しい科学技術用計算機の導入が遅れたため.次年度に計算機を購入する.
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Research Products
(4 results)