2023 Fiscal Year Research-status Report
Creation of Artificial Systems Consisting of Flavin and Amino Acid Units as Models for Protein-based Magnetic Sensor
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22K05053
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡 芳美 広島大学, 持続可能性に寄与するキラルノット超物質国際研究所, 研究員 (30470115)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ラジカルペア / フラビンタンパク質 / 微弱磁場センシング / DNA構造体 / 連結分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
「生体のクリプトクロムが磁気センサーとして働くのはなぜか?どのようにすれば人工的に(できるだけシンプルに)構築できるか?」という「問い」に対する分子化学的解明を実験的に示すことを目的とする。本研究では、クリプトクロム・磁気センサーの模倣、設計、精密合成のアプローチをとり、生体系と同じ反応過程を辿る、すなわち微弱磁場により1重項-3重項ラジカルペア間の転移が効率的に起こるモデルシステムの構築、最終的な3重項ラジカルペアの長寿命化の実現を目指す。また、その人工システムを用いて、構造-磁気センシング機能の相関を明らかにすることを目指している。 p-フェニルアミド・リンカーで連結したフラビン-Trp連結分子についての研究成果を雑誌論文として纏めることができた(研究発表欄に記載)。この分子は、結晶構造解析と時間分解電子スピン共鳴(TREPR)測定における室温での溶液状態の解析から、フラビン環とTrp環の中心間距離は、フラビンタンパク質で検出されたラジカルペアで報告されているのと同様の範囲(10-20 Å)であることがわかった。蛍光消光とTREPR測定により、フラビンとTrpの間の青色光誘起電荷分離の反応ダイナミクスを示し、1)分子内相互作用と分子間相互作用、特に2)1重項前駆体と3重項前駆体の競合について実験結果を基に考察した。溶液中では(主に分子内の)Trpからフラビンへの光誘起電子移動が主に1重項前駆体を介して進行する(しかし短寿命)。3重項前駆体を介して生成されたラジカルペアは、マイクロ秒オーダーで持続する(しかし遅い項間交差のため、わずかな3重項励起子しか生成しない)可能性が示唆された。 上記の結果を基に、1重項ラジカルペアの長寿命化(電荷再結合を抑制)を満たすようなリンカー構造をとる連結分子を合成した。その光誘起電子移動反応については、評価を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象化合物系の有機合成がおおむね順調に進展している。合成後の化合物の評価も問題なく進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、対象分子系(フラビン-Trp連結分子およびフラビンとTrpユニットを含むDNA構造体)に関する合成と物性評価を進める予定である。
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Causes of Carryover |
年度中に概ね計画通り使用できたが、少額の次年度使用額が生じた。次年度の試薬や測定器具類等消耗品の購入に充てる計画である。
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