2023 Fiscal Year Research-status Report
Carbon dioxide reduction reaction catalyzed by molecules adsorbed on electrodes
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22K05057
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
内田 太郎 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (70581643)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 表面増強赤外分光 / DFT計算 / 光励起 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化や化石燃料枯渇の解決のため、これまでCO2の資源化技術研究が精力的に行われている。本研究では、電極に吸着した分子によるCO2の還元反応機構を解明し、高活性な電極触媒の設計に役立てることを目的としている。本年度は、シミュレーションを用いてCO2の還元反応の前段階である、電極表面の有機分子による電解液中の水からの水素原子の引き抜きについて検討を行った。このように段階を踏まえた解析を行なっているのは、昨年度、シミュレーションで直接的に電極表面の有機分子によるCO2の還元反応を解析することが難しいことが示唆されたためである。以前に実験で見出した銀電極表面のチオ尿素による水素の引き抜きを検討したが、Ag31原子、1チオ尿素の小さなモデルで計算を行ったが、実験結果を説明できる結果が得られなかった。これは、実験ではチオ尿素が還元され水素を水から引き抜く前に、一部のチオ尿素が脱離し、表面被覆率が低くなるが、シミュレーションでは、小さなモデルで行ったためであると推察される。そこで、さら大きなサイズのモデルで再計算を試みている。 応用的観点から、分子による還元反応は動力源をどのようにするかという問題点がある。一つの解決法は、光励起がある。以前に、ポリマー中でテトラセン系の化合物が結晶ではなくデンドリマーを形成し、可視光励起が可能であることを実験的に見出していた。シミュレーションで励起状態の計算を行い、励起の際の電子状態を明らかにした。その結果、デンドリマー中ではπ-π相互作用が支配的であるが、5層程度でπ-π相互作用が限界であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
シミュレーションにより、上記のように光励起に関する情報等が得られたが、当初は実験系での解明を進める予定であったが、実験室の移動等があり、実験が当初の予定通りに進まなかったため、このように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度では、現在行なっている実験系について実験化学・シミュレーションを駆使し詳細に解析し、反応機構を明らかにする。これと並行し、吸着分子の光励起に関して、実験化学・シミュレーションを行うことで、光励起で駆動する触媒設計につなげたい。R5年度の結果から、現在保有の計算資源では、シミュレーションに時間がかかり、計算に加える分子の数をあまる増やすことができないことがわかった。そこで、計算資源を増やすことでシミュレーションでの研究を加速させたいと考えている。
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Causes of Carryover |
前述のように、実験室の移動があり、特に実験化学は当初予定したように実験・解析などが進まなかった。また、シミュレーションも現在の計算資源ではあまり規模の大きな計算ができず、当初通りに研究が進まなかった。そこで、予定していた実験の試薬などの物品費を繰り越した。次年度使用額は、令和6年度請求額と併せ、物品費、計算資源の増設に使用したい。
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