2023 Fiscal Year Research-status Report
Developments of Versatile Nanosheet Formation Methods by Supramolecular Stimuli of Cyclic Compounds and Its Characterization
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22K05064
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
角田 貴洋 金沢大学, 物質化学系, 助教 (70746495)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ピラー[5]アレーン / ベントナイト / インターカレーション / ホストーゲスト相互作用 / 層状複水酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
小型化、省資源性の観点から注目される厚さが数ナノメートルのシート状材料の作製を目標に、有機物のナノシートと無機物のナノシートの新たな形成手法の提案を目的とする。本年度は、有機ナノシートと無機ナノシートの形成方法として、カチオン性環状化合物のホスト-ゲスト相互作用が生み出す「超分子刺激」がシート形成に及ぼす影響を調査した。カチオン性ピラー[5]アレーンが挿入されたスメクタイト系のベントナイトへゲスト分子である、ドデシルスルホン酸、アジポニトリル。アルキル鎖長の異なるジオール体を混合した。その結果、ゲスト分子の導入に伴う、分散生の向上とX線回折による積層構造の変化を得ることができた。そこで、イミダゾールカチオンを導入したカチオン性ピラー[5]アレーンを利用し、ホストーゲスト相互作用による取り込み挙動の検討を行った。ゲスト分子の有無によらず層間に挿入可能であったことに加え、ゲスト分子を経蔵させることでベントナイトへの挿入量が増加する現象を見出した。これら挿入された量は、TGAにより測定し、挿入後のベントナイトは、X線回折により評価した。ゲスト分子の種類による検討の結果、環状構造より大きなサイズのゲスト分子では、導入量の増加がわずかなことから会合定数の大きさにより層間挿入される挙動が異なると判断した。 さらに本年度では、ピラー[5]アレーンを層状複水酸化物中へ導入することを試みた。層状複水酸化物は、カチオン生の表層を有するため、アニオン性ピラー[5]アレーンの合成を行った。カルボン酸末端を有するアニオン性ピラー[5]アレーンは、ベントナイトと同様に、混合のみで層状複水酸化物中へ取り込まれることが明らかとなった。加えて、ゲスト分子の吸着特性を示し、超分子刺激を利用した吸着・剥離システムの形成が可能と示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ベントナイトの層間に挿入されたピラー[5]アレーンにゲスト分子を導入し、ホストーゲスト相互作用を利用した積層構造の制御を目的としていた。これまでカチオン性ピラー[5]アレーンを導入したベントナイトの形成が完了していたため、ゲスト分子の添加を行っている。その結果、ホストーゲスト相互作用により、積層構造が変化し超分子刺激による無機ナノシートの形成ができることを見出している。これに加えて、本年度では、ゲスト分子の有無による取り込み挙動の違いを明らかとした。さらに、ピラー[5]アレーンのアニオン化したものを合成し、他の多積層化合物である層状複水酸化物への導入にも成功している。ピラー[5]アレーンの導入された層状複水酸化物は、ゲスト分子に応じた吸着挙動を示すことを見出しており、ピラーアレーンのホストーゲスト相互作用がナノシート形成だけではなく、吸着材料への応用に可能であることも示されている。これらの結果は、当初計画していたナノシートの形成を超える結果であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
多積層化合物へのピラーアレーンの導入に成功している。加えて、ホストーゲスト相互作用による積層構造の変化を確認できた。今後、有機ナノシート構造の形成を実現するため、ピラーアレーンの形状による因子を明らかにし、多積層化合物中における、ピラーアレーン構造の固定を試みる。これは、層間でで形成されたパッキング構造を保ちつつ、取り出すために必要な検討である。加えて、固定化した有機ナノシートをホストーゲスト相互作用により抽出し、ナノシートの構造解析と物性解析を行うことで、当初計画していた研究方針の実現に着手する。これらは、計画に当初含まれていない、層状複水酸物の利用へと応用できる可能性が期待される。
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