2022 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of carbon-centered hexagold(I) clusters using divalent carbon(0) compounds as C1 source
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22K05072
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤井 孝宜 日本大学, 生産工学部, 教授 (00283060)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 0価2配位炭素 / カルボン / C1源 / 金(I)クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,カルベン(C(II)L2)と異なる新しい炭素化学種として期待されるカルボン(C(0)L2)と呼ばれる化合物群に着目し,このカルボン炭素をC1源として活用し,種々の中性配位子を有する炭素中心の6核金(I)クラスター([(C)(AuL)6]2+)を合成することを目的とする。 本年度は,5員環カルボンである1,2-フェニルビス(フェニルスルファン)カーボン(0) (PBSC) のジプロトン体1,3-ジフェニル-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d][1,3]ジチオール-1,3-ジイウム (PBSC・2H) を合成し,その構造をX線構造解析を用いて明らかにした。また,PBSC・2Hの反応性を調査する目的で,3核金(I)錯体([O(AuL)3]+)と反応させ,6核金(I)錯体([C(AuPPh3)6]2+)を合成し,C1源の発生試薬としての利用を試みた。PBSC・2Hは,1,2-ジブロモベンゼンを出発原料とし,2段階で合成した。その構造をX線構造解析を用いて明らかにした結果,PBSC・2Hのフェニル基はトランスおよびシス体の構造をとっていることが分かった。5員環のS-C-S結合角は109-111°であり,理想的な5員環の角度に近い値をとっていた。 C1源の発生試薬として利用する目的で,PBSC・2Hと種々の[O(AuL)3]+(L = IMe, IiPr, PPh3)との反応を行った。その結果,対応する炭素中心6核金(I)錯体が,42, 31, 79の収率で得られた。これらの結果は,これまでC1源として用いられていたTMSCHN2の場合と比較したところ,収率が向上していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回,1)C1源となるカルボン前駆体が,市販品から2段階で合成することが可能となった。2)カルボン前駆体と金(I)錯体との反応を行ったところ,目的の炭素中心6核金(I)錯体の合成に成功した。3)6核金(I)錯体の合成条件は,最適化する必要があるが,これまで知られているC1源より,効率良く目的化合物を得ることができた。以上,1)から3)の理由により,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況でも述べたが,炭素中心6核金(I)錯体の反応最適化を行うとともに,種々の配位子を有する目的化合物の合成についても検討する。また,6員環カルボン前駆体を用いた目的化合物の合成も試みる。
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Research Products
(3 results)