2022 Fiscal Year Research-status Report
金属-不飽和結合π配位の協働による複雑ナノ空孔の構築と機能創製
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22K05076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堂本 悠也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50790995)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自己集合 / ナノ構造 / ナノマテリアル / アセチレン / 銀錯体 / 分子トポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、金属-不飽和結合間のπ配位相互作用を新たな自己集合駆動因子として活用した、複雑かつ巨大なナノ構造の構築制御と応用を目指した研究を進めている。従来広く用いられる含窒素複素環やカルボキシレートに基づく相互作用と比べると、π配位の結合力や方向規定性は単独では弱い。この点を逆手にとり、緩やかで柔軟な構造規定作用を発揮する配位ドナーとして多数集積、あるいは強い配位と協働させることで、一義的ナノ構造の超精密制御を可能とする。これにより、ナノサイズ空孔性分子(ナノ空孔)を中心とした物質・材料における高度な構造複雑性および新奇機能を創出することを目指す。今年度の研究では、以下の項目について検討を行った。 (i) 高度に絡まった構造をもつナノ空孔分子群の精密構造制御 代表者が開発している(M3L2)n型ナノ空孔のアニオン刺激に基づく逐次構造変換のさらなる展開、およびゲスト分子との分子間相互作用について溶液解析および放射光X線構造解析、加えて原子間力顕微鏡を用いた解析・観察を行った。これらの実験を通じて拡張型空孔錯体の新たな変換経路や、これら錯体の示す特異なゲスト応答挙動などを明らかとした。 (ii) 金属ナノクラスターの広義テンプレート合成 当初は予想していなかった結果として、アセチレン・・・金属間の配位を従来のピリジル配位と協働させる系の拡張を行う過程で、金属ナノクラスターの新規構築手法となり得る現象を見出した。これは広義における新しいタイプのナノクラスター鋳型構築法へと展開できる可能性を秘めており、ナノ空孔の機能発現のひとつとして今後さらに検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画したナノ空孔分子群の精密構造制御について有用な新知見をいくつか見出す結果を得ていることに加え、当初は予想していなかったナノクラスターの広義テンプレート合成に繋がる発見もあり、今後のさらなる展開に期待がもてる結果となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度より代表者の他大学への異動に伴い、研究環境の再整備が必要となったものの速やかにこれを行いつつ、複雑ナノ空孔の開拓研究をさらに加速させる所存である。
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Causes of Carryover |
代表者が他大学へ異動することとなり、新年度にかけて研究環境の新たな整備が必要となったため。本年度の実験は既に整備済みの設備等を用いることで遂行した。次年度においては、研究体制の再構築と速やかな研究遂行に必要な備品および消耗品の購入、および各種構造解析を進めるための測定出張や成果発表のための費用に用いる予定である。
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Research Products
(6 results)