2022 Fiscal Year Research-status Report
電子過剰系芳香環α位の求核置換反応における学術体系の構築と汎用的手法の確立
Project/Area Number |
22K05093
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
増井 悠 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (70714377)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | フロー合成 / マイクロフロー / 求核置換反応 / 電子過剰系芳香環 / ヘテロ環 / インドール / フラン / カルボカチオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マイクロフロー法を活用して電子過剰系芳香環のα位sp3炭素上での求核置換反応の確立と基礎化学的知見の獲得と体系化を目指し、3年間でインドール、フラン、ピロールを有するハロゲン化アリールメチルの求核置換反応を開発する。2022年度は、電子過剰系芳香環のα位でのハロゲン化~求核置換反応をマイクロフロー法で連続的に実施するとともに、基質適用範囲の検討に取り掛かる計画である。 インドール-3-メタノールおよび3-フェニル-2-フルフリルアルコールを基質として、アジ化物イオンを求核剤としたフロー求核置換反応を検討した。本反応における流路長を調整し、各基質の最適な反応時間を最適化した。驚くべきことに、インドール-3-メタノールを基質としたハロゲン化~求核置換反応では、ハロゲン化を0.02秒、求核置換反応を0.1秒というきわめて短い時間で完了させることで、良好に反応が進行することを見い出した。試薬や溶媒等の反応条件も最適化した結果、インドール-3-メタノールおよび3-フェニル-2-フルフリルアルコールの基質で、それぞれ収率95%、95%でアジド化反応が進行し、当初目標としていた収率90%以上を達成した。 基質適用範囲の検討も実施した。種々の置換基をもつインドール-3-メタノール類縁体および2-フルフリルアルコール類縁体において、フローでの求核置換反応に成功した。また、N求核剤(アジ化物イオン、アミン)、S求核剤(チオール、スルフィン酸イオン)、C求核剤(メルドラム酸)はいずれも求核剤として適用できた。 以上の通り、2022年度および2023年度に計画していた反応条件の最適化および基質適用範囲の検討は完了している。本成果によって、論文発表1件および国際学会発表(招待講演、口頭)1件を報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、2022年度および2023年度に計画していた反応条件の最適化および基質適用範囲の検討は完了している。当初の計画以上に研究が進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は良好に進行している。今後、生物活性天然物の合成への応用が期待できる。
|
Causes of Carryover |
計画していた反応条件の検討がきわめて良好に進行し、当初不測の事態に備えて購入を予定していた物品を購入せずに済んだため。
|