2023 Fiscal Year Research-status Report
直観的な分子修飾を可能にする低反応性C(sp3)-H結合の一工程官能基化法の拡張
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22K05096
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
上條 真 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (00359548)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 炭素-水素結合官能基化 / 酸素官能基化 / 芳香族ケトン / 光反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機化合物の合成を高効率化しうる反応として、酸性度をもたない低反応性C(sp3)-H結合の官能化に着目し、新しい分子変換法の創出を目指し研究を推進している。 電子求引基の隣接により酸性度をもち、塩基による脱プロトン化が可能なC-H結合に対し、酸性度をもたないC-H結合は結合の分極が小さいため、脱プロトン化による求核的な活性化を経て求電子剤を作用させるイオン反応を適用し官能基化することは困難である。酸性度をもたない低反応性C(sp3)-H結合の自在な官能基化法の確立は、化合物の入手を迅速化する斬新な分子修飾法の提供に加え、効率性に優れる新しい分子構築法の提案に繋がる。しかしながら、低反応性C(sp3)-H結合を官能基化する一般化な手法は確立されていない。 これまでに我々は、高エネルギー状態にある光励起した芳香族ケトンを作用させると、温和な条件下、これら低反応性C-H結合がラジカル切断されることを見出している。そこで、イオン反応と相補的な分子変換法として、ラジカル化学を基盤とする低反応性C-H結合の官能化法の提供を目指し研究を進めている。 本年度は、ラジカル捕捉剤として多用されるTEMPOが酸素ユニット前駆体として利用できることに着目し、酸素官能基の一工程導入法の開発に取り組んだ。その結果、アルカンC-H結合、ベンジル位C-H結合、酸素・窒素原子隣接位C-H結合など、一般的に反応性に乏しいと考えられている幅広い出発物に対して酸素官能基の直接導入に成功した。得られた生成物は、還元によりアルコール、酸化によりケトンに誘導可能であり、アルコール等価体として合成利用できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルカンやアルキルベンゼン、エーテル、含窒素化合物といった安価な原材料から、合成汎用性に富む、より利用価値の高いアルコール等価体を一工程でする手法を確立し、その成果を論文としてまとめ公表に至ることができたため
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、置換型のC-H官能基化により、一工程導入反応で導入可能な官能基を探索することで、低反応性C(sp3)-H結合を直接官能基化法の拡張を図る。
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