2022 Fiscal Year Research-status Report
軸のねじれを利用したP,オレフィン型不斉配位子の開発と触媒反応への展開
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22K05107
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三野 孝 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40302533)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | P ,オレフィン型配位子 / パラジウム / 不斉反応 / 複素芳香環構築反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複雑な有機化合物が簡便に合成可能となる新たな触媒プロセスを開拓するために汎用性のあるP ,オレフィン型配位子を開発し、広く社会に還元できる実用性の高い合成技術を確立することを目的とした。 本年度は、以下に述べるような研究について検討を行った。 これまで開発してきたシンナミル型不斉配位子のシンナミル基をシンナモイル基に変化させたシンナムアミド型化合物を合成した。その結果、シクロヘキシル基およびシンナモイル基を有するアニリン誘導体の炭素-窒素結合間においても、軸不斉が発現し、光学活性体として存在することを明らかにした。さらに、これを、インドール類を求核剤としたパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応の不斉配位子として適用したとこる、最高97% eeの不斉収率で目的生成物が得られることを明らかにした。 またキラルフェネチルアミンを不斉源とするシンナムアミド型化合物のシンナモイル基を様々なα,β-不飽和カルボニル基に変化させたアミド型化合物を合成した。その結果、3,3-ジメチルアクリロイル基を有するアミド型化合物においてもジアスレテオマーが存在し、それらの分離に成功した。さらに単結晶X線構造解析により、それらの立体を決定することができた。また、同じジアスレテオマーである3,3-ジメチルアクリロイル基を有するアミド型化合物とシンナムアミド型化合物を、それぞれパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応の不斉配位子として用いると、生成物の立体は異なることが明らかとなった。 さらにP ,オレフィン型配位子を用いたパラジウム触媒による複素芳香環構築反応を開発にも成功した。またその反応メカニズムについて、DFT計算によりP ,オレフィン型配位子が有効に作用していることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記区分とした理由を以下に述べる。 シクロヘキシル基およびシンナモイル基を有する不斉配位子の開発に成功し、これを、インドール類を求核剤としたパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応の不斉配位子として利用することにも成功した。 またジアスレテオマーが存在する3,3-ジメチルアクリロイル型不斉配位子の開発にも成功した。 さらにP ,オレフィン型配位子を用いたパラジウム触媒による複素芳香環構築反応を開発にも成功したことから、本研究は現在まで概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展開としては、シクロヘキシル基およびシンナモイル基を有する不斉配位子を利用した新たな不斉反応の開発を目指す。パラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応における求核剤を、インドール類以外の求核剤、例えば、イサンチンなどを用い炭素-窒素結合形成反応への展開を目指す。また3,3-ジメチルアクリロイル型不斉配位子についても、その反応の立体選択性の特異性についてDFT計算などを駆使して明らかにしたい。さらにP ,オレフィン型配位子を用いたパラジウム触媒による複素芳香環構築反応を不斉反応へと展開していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度における予算執行において、当初の想定以上に順調に研究が進展したこと、海外の比較的安価なメーカーの試薬を購入することで、納品価格を抑えることで、特に物品費の削減に成功した。次年度も積極的に研究を実施するとともに、無駄な経費をなるべく削減しつつ、積極的に研究を実施したい。
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Research Products
(10 results)