2023 Fiscal Year Research-status Report
軸のねじれを利用したP,オレフィン型不斉配位子の開発と触媒反応への展開
Project/Area Number |
22K05107
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三野 孝 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40302533)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | P ,オレフィン型配位子 / 不斉反応 / パラジウム触媒 / 複素芳香環構築反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複雑な有機化合物が簡便に合成可能となる新たな触媒プロセスを開拓するために汎用性のあるP ,オレフィン型配位子を開発し、広く社会に還元できる実用性の高い合成技術を確立することを目的とした。 本年度は、以下に述べるような研究について検討を行った。これまでに開発したシクロヘキシル基およびシンナモイル基を有するシンナムアミド型不斉配位子を様々なインドール類を求核剤としたパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応に用いたところ、最高97% eeの不斉収率で14種類の対応する目的生成物が得られた。またイサンチンを求核剤とした同様の反応に用いたところ、反応が進行することが明らかとなった。そこで本反応における反応条件の検討を行ったところ、塩基としてリン酸三ナトリウム、溶媒としてベンズトリフルオリドを用いた場合に、最高95% eeの不斉収率で目的生成物が得られた。 また3,3-ジメチルアクリロイル基を有するアミド型不斉配位子を用いたパラジウム触媒によるインドールを求核剤とする不斉アリル位アルキル化反応の反応条件の最適化を行った。その結果、塩基として炭酸カリウム、溶媒としてジクロロメタンを用いた場合に、最高95% eeの不斉収率で目的生成物が得られた。 さらに、フタルイミドを求核剤としたパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応について、これまで当研究室で開発してきたP ,オレフィン型配位子群におけるスクリーニングを行ったところ、キラルフェネチルアミンを不斉源とするシンナミル型不斉配位子が効果的であり、本反応の反応条件の最適化を行った。その結果、塩基としてリン酸三ナトリウム、溶媒としてテトラヒドロフランを用いた場合に、最高98% eeの不斉収率で目的生成物が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記区分とした理由を以下に述べる。 シクロヘキシル基およびシンナモイル基を有するシンナムアミド型不斉配位子を、インドール類を求核剤としたパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応に用いることで、対応する14種類の生成物が得られ、基質検討の調査を実施した。 また3,3-ジメチルアクリロイル型不斉配位子を用いたインドールを求核剤とする不斉アリル位アルキル化反応の反応条件の最適化を行った。 さらに、フタルイミドを求核剤としたパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応について、キラルフェネチルアミンを不斉源とするシンナミル型不斉配位子が効果的であることを明らかにした。以上の成果から本研究は現在まで概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展開としては、3,3-ジメチルアクリロイル型不斉配位子を用いたインドールを求核剤とする不斉アリル位アルキル化反応の基質適用範囲の調査を実施したい。さらに、フタルイミドを求核剤としたパラジウム触媒による不斉アリル位アルキル化反応についても、キラルフェネチルアミンを不斉源とするシンナミル型不斉配位子を用いた基質適用範囲の調査を実施したい。さらにP ,オレフィン型配位子を用いたパラジウム触媒による複素芳香環構築反応を不斉反応へと展開していきたい。
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Causes of Carryover |
本年度における予算執行においても、前年度と同様に当初の想定通りに研究が進展したこと、海外の比較的安価なメーカーの試薬を購入することで、納品価格を抑えること で、特に物品費の削減に成功した。次年度も積極的に研究を実施するとともに、無駄な経費をなるべく削減しつつ、積極的に研究を実施したい。
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