2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K05110
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 芳彦 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (60283412)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 含フッ素化合物 / 不斉環化反応 / 1,3-双極子環化付加反応 / DFT計算 / ビシクロ環化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリフルオロメチル基の置換したベンズヒドロールの水酸基をジメチルシリル化してアルコキシジメチルヒドロシランを合成した。得られたヒドロシランに対し、キラルなピリジンオキサゾリン(pyox)配位子を用いるイリジウム触媒反応を検討したところ、従来法で必要とされた水素受容体であるノルボルネンを必要とせず、良好な収率で分子内脱水素シリル化が進行した。そこで、pyox配位子をスクリーニングしたところ、インダンアミノアルコール由来のオキサゾリンが最適であり、ピリジン環6位にアルキル基を導入すると不斉非対称化により高い不斉収率を与えることが判明した。 フルフラールのトリフルオロメチル化によってフルフリルアルコール誘導体を調製し、そのAchmatowicz反応を検討し、2位にトリフルオロメチル基を有するジヒドロピラノンの効率的合成法を確立した。得られたジヒドロピラノンの6位水酸基をアセチル化した後、トリエチルアミンで処理してオキシドピリリウム種を発生させ、種々の親双極子化合物との(5+2)環化反応を検討した。その結果、橋頭位炭素上にトリフルオロメチル基をもつオキサビシクロ環化合物を良好な収率で得ることができた。さらに、トリフルオロメチル置換アミンのaza-Achmatowicz反応へと展開するため、まず、トリフルオロメチル基をもたないオキシドピリジニウム種の環化付加反応をDFT計算により解析し、その結果を実験的に検証した。その結果、N上に2-ピリミジル基をもつオキシドピリジニウムが良好な結果を与えることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イリジウム触媒を用いるトリフルオロメチル置換ベンズヒドロール誘導体の不斉非対称化法の開発が順調に進んでおり、その一般性の検討も進行している。従来必要であった水素受容体が不要であることなど、反応機構に関する新たな知見も得られており、更なる展開が期待できる。 また、橋頭位にトリフルオロメチル基をもつオキサビシクロ環化合物の合成に関しても、フォトレドックス触媒を活用することで困難であったトリフルオロメチル置換フルフリルアルコールのAchmatowicz反応に成功し、トリフルオロメチル置換オキシドピリリウム種の発生を実現できた。さらに、橋頭位にトリフルオロメチル基をもつアザビシクロ環化合物の合成へと展開するための検討に入っており、含フッ素トロポン誘導体への展開が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
イリジウム触媒を用いる不斉非対称化法の摘要範囲を明確にするため、様々な置換フェニル基や含フッ素置換基をもつベンズヒドロール誘導体を調製し反応性を検討する。さらに、トリフルオロメチル基をもたないベンズヒドロール誘導体の反応との比較実験やDFT計算を実施し、反応機構に関する知見を得る。本反応の有用性を示すために、生成物のシリル基を起点とする誘導を展開する。さらに、イリジウム触媒不斉非対称化法の開発で得られた知見を元に、トリフルオロメチル置換フェネチルアルコール類の光学分割や、トリフルオロメチル置換ベンズヒドロール類の不斉ボリル化反応へと展開する。 橋頭位にトリフルオロメチル基の置換したトロポン誘導体を合成するため、トリフルオロメチル置換オキシドピリジニウム種の発生法を検討する。まずは、フルフラールからトリフルオロメチル置換アミンを調製し、そのaza-Achmatowicz反応を検討する。これが成功しなかった場合には、トリフルオロメチル置換ピリジン-3-オールのN-アルキル化を経由するKatritzky法を検討する。トリフルオロメチル置換オキシドピリジニウム種の環化付加反応性を検討した後に、DFT計算を用いた解析を実施し実験結果と比較する
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Causes of Carryover |
年度の後半になり研究成果が出始めたため、当初計画よりも消耗品費や学会参加旅費等が抑えられたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、消耗品費および学会発表旅費に充てる。
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Research Products
(3 results)