2023 Fiscal Year Research-status Report
Development and application of novel binaphthyl-type chiral catalysts
Project/Area Number |
22K05114
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐古 真 大阪大学, 大学院薬学研究科, 助教 (20804090)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ビナフチル型キラルボリン酸 / 不斉有機分子触媒 / 不斉非対称化 / 多成分連結反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度中は、昨年度に合成したビナフチル型キラルボリン酸の不斉触媒能や化学的安定性について研究を実施した。 ビナフチル型キラルボリン酸の不斉触媒能を1,2-メソジオールのベンジル化による非対称化において確かめた。その結果、目的のベンジル化生成物が94%収率と37% eeで得られ、中程度ながらビナフチル型キラルボリン酸触媒による不斉誘起が観測された。本触媒の設計構造の有効性を明らかにするために、ビナフタレン骨格の3位にボリン酸ユニットを持つ化合物を別途合成し、同じ反応条件に付した。その結果、生成物は収率良く得られたものの、エナンチオ過剰率はわずか4%であった。また、ビナフチル型キラルボロン酸触媒は触媒能が低く、生成物はラセミ体として得られた。本反応における不斉収率には課題が残るものの、これらの結果はビナフチル型キラルボリン酸の設計指針を合理的に支持するものであり、引き続き触媒構造の改良に取り組む。 次に、合成したビナフチル型キラルボリン酸の化学的安定性について調査した。一般にボリン酸は、ボリン酸無水物の形成や反応の過程でボロン酸へと分解することが報告されている。いくつかの検証実験を行った結果、本キラルボリン酸はモノマーとして安定に存在することや、Ph2BOHに比べて化学的安定性が向上していることを明らかにした。ビナフチル骨格の2位にホウ素原子を導入したことで、ビナフチル型キラルボリン酸の安定性が向上していると考えられ、本結果について対照実験や量子化学計算を用いて考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成したビナフチル型キラルボリン酸の不斉有機分子触媒としての機能、およびその化学的安定性について評価した。いずれも期待通りの結果が得られ、構造的特徴の考察から今後の触媒構造の設計に関する指針も得られている。現在のところ、キラルボリン酸触媒の合成と応用に関する研究は研究計画書通りに進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は触媒構造の改変を行い、不斉有機分子触媒としての機能向上を目指す。また、従来の不斉触媒では困難であった不斉触媒反応へ本触媒を適用する。特に、水分子を用いる三成分の不斉触媒反応において良好な萌芽データが得られており、本反応の開発を進める。また、反応機構研究でも興味深い知見が得られており、実験および計算化学により考察を進める。
|
Causes of Carryover |
不斉触媒反応で得られる生成物の光学純度を調べるのに必要な分析用キラルカラムは研究室で保有しているカラムで実行可能であったため、物品費の繰り越しがあった。今年度請求分により、次年度に新たな化学薬品やキラルカラムの購入、関連学会での情報収集に研究費を充てる。
|
Research Products
(7 results)
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Axially Chiral Borinic Acid Catalysts: Design, Synthesis, and Application to Alkylative Desymmetrization of 1,2-Diols2023
Author(s)
Chikashige, Y.; Takehara, T.; Matsuzaki, T.; Suzuki, T.; Murai, K.; Arisawa, M.; Sako, M.
Organizer
Gratama Workshop 2023
Int'l Joint Research