2022 Fiscal Year Research-status Report
Multi-channel continuous electrochemical cytosensing based on nucleic acid/peptide/peptide nucleic acids
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22K05155
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅原 一晴 前橋工科大学, 工学部, 教授 (30271753)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒト慢性白血病由来細胞株 / シングルストランドDNA / 電子伝達性ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒト骨髄性白血病細胞株(K562細胞)を電気化学的にセンシングするためにシングルストランドリボ核酸(ss-DNA)とペプチドを結合させた一連のプローブを合成した。プローブの細胞認識部位としてK562細胞と結合するss-DNAアプタマーを選択した。一方、ペプチド部位はN-末端をアセチル化したAc-His-tag/電子伝達性ペプチドとしておりプローブ合成プロセスにおいて有利である。電子伝達性ペプチドはチロシンとシステイン残基から成っており、容易に細胞センシングのための電極応答を得ることができる。ペプチド部位のカルボキシ基が、ss-DNAアプタマーの5'-末端にリンカーとしてH2N-(CH2)6-OHを導入されアミノ基とコンジュゲートさせた。このプローブはss-DNAとペプチドで構成されているため、生体適合性が高く、コストエフェクティブの高い細胞検出プローブである。ボルタンメトリーによる測定では、電子伝達性ペプチドに起因する酸化ピークが出現し、ss-DNAがK562細胞を認識した際に先のピークはターゲット細胞の濃度に依存し減少した。上述のss-DNAアプタマーをペプチドに修飾したプローブの挙動は、K562細胞を認識しないss-DNAアプタマーを結合させたプローブと比較して、K562細胞センシングに対して高い選択性を示した。考案したプローブのピーク電流値は、10~2,000細胞/mLの濃度範囲でよい直線関係が得られており、K562細胞の検出限界は3細胞/mLであった。それゆえ、ss-DNA/ペプチドプローブはターゲット細胞のセンシングに対して有益であり今後の展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は、Covid-19の影響を受けてはいるが、計画に掲げた新たな電子伝達性ペプチド配列のデザインに関するいくつかの知見が得られており研究の進展が見られた。既存の電子伝達性ペプチドに対して、ペプチドの溶解度や構造の安定性が改善されおり、期待通りの結果となっている。また、デザインしたペプチド/ss-DNAプローブによるヒト骨髄性白血病細胞株(K562細胞)の電気化学的センシングを行ったところ、ペプチドプローブのみで実施した細胞センシングに比較し細胞とプローブとのインキュベートする時間が短縮されている。以上のことから判断して、おおむね予定通り研究が進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の「電子伝達性ペプチド/細胞認識ss-DNAプローブによるバルクでのターゲット細胞の電気化学的センシング」における成果を踏まえて先のプローブを修飾したスクリーンプリント電極によりサイトセンシングを発展的に実施する。そのシステムとしては以下の通りである。まず、アセチル化したシステイン、チロシンとヒスチジン残基を連ねたペプチドに加えてシステイン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン残基から成るペプチド配列を合成し、細胞認識ss-DNAに結合させたプローブを合成する。これらのプローブ光透過性スクリーンプリント金電極にシステイン残基を介して固定化する。そして、この電極を用いターゲット細胞の検出を行うことをベースに研究を進める。一方、ss-DNA/ペプチドプローブと相補的に結合するペプチド核酸(PNA)を金電極に固定化したデバイスを作製する。細胞存在下でPNAと細胞とをプローブに対して競争させPNAとの結合が抑制に基づく細胞のセンシングを目指す。その際には、相補的PNAの長さを変化させることでPNA-ssDNA間の結合力を向上させて高感度な細胞検出を達成する。
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Causes of Carryover |
2022年度における研究は、先に述べた通りおおむね予定通りに進んでいる。しかしながら、Covid-19の影響により一部の学会発表において、ハイブリッド形式となったため旅費等の支出が抑えられた。また、実験器具ならびに試薬の納入が遅れ物品購入費が予定より少額となった。一方で、電気化学的測定装置に接続するマルチプレクサーが見積価格に比較し低予算で購入にされ、ペプチド合成についてもキャンペーン価格を利用でき次年度へ予算を先送りするかたちとなった。令和5年度は、繰り越された予算を試薬や消耗品の購入に充てるとともに、学会発表の費用として使用することを計画している。
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