2023 Fiscal Year Research-status Report
レクチン(糖認識ドメイン)表層発現酵母創製技術の確立とバイオ分析技術への新展開
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22K05162
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
高山 勝己 福井工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (70226934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 敏英 福井工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (40557443)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 酵母細胞表層工学 / マンノース糖鎖認識レクチン / GPIアンカー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、細胞表層工学技術を用いて酵母Saccharomyces cerevisiae MT8-1株の細胞表層にヒトマンノース結合レクチン(MBL)の糖認識ドメイン(CRD)に相当するを発現させるためのプラスミドを構築(pMW MBL/CRD)した。なおCRDはヒト第10染色体長腕 EXON4にコードされている。シャトルベクターとして用いたpMWFDへのCRD配列の挿入をシークエンス解析により確認した。pMW MBL/CRD酵母MT-8形質転換体を任意の条件で培養(ただし、ここで用いた条件は必ずしも最適条件ではない)し、増殖が定常となったところで回収し、FLAG抗体染色法ならびに2-Aminobenzoic acid ラベル化マンノースオリゴ糖鎖染色(蛍光ラベル化オリゴ糖)を用いてCRD表層確認をそれぞれ行った。CRD-C末端にFLAGが発現されることで、FLAG抗体染色が可能なはずであるが発現体の蛍光を観察できなかった。これに対して蛍光ラベル化オリゴ糖を用いることで、明瞭な蛍光が観察され表層発現を確認することができた。 結論として、現段階でMBL/CRD酵母表層発現用プラスミドの構築に成功し、酵母細胞表層にCRDを発現することができたと言える。ただし、その発現量は抗体染色による観察から、十分ではなく発現培養条件のさらなる最適化検討が必要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は研究開始2年目にあたる。目的とするヒトマンノースオリゴ糖鎖結合認識ドメインの酵母表層発現を確認できた。定量的評価に至っていないが、FLAG抗体染色による表層発現が確認できないなど課題を残している。これは酵母表層への発現量が十分でないことによるものと考えられ、発現培養条件のさらなる最適化を要すると考えている。今年度中にこの問題をクリアすることで、応用展開への道筋ができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回選択した表層発現培養条件は、著者らが別のタンパク質の酵母表層発現を目的として(温度、pH緩衝液成分、回収のタイミングなど)最適化したものであり、本来は個々のタンパク質ごとに最適条件があると推察される。よって、CRD発現に適した条件を詳細に検討する予定である。酵母表層発現CRDの2-Aminobenzoic acid ラベル化マンノースオリゴ糖鎖に対する認識能力を定量的に評価する予定である。さらに、マンノースオリゴ糖鎖を細胞表面に保有する細菌に対する吸着剤としての有用性を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度研究計画遂行において試薬や器具等の増額が必要であると予想されるため。
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