2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of in-situ high-pressure electrospray mass spectrometry for hydrothermal reaction
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22K05170
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
チェン リーチュイン 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40585577)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 質量分析 / エレクトロスプレーイオン化法 / 水熱反応 / 高圧高温イオン源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高圧・高温の水熱反応器内の成分をその場でリアルタイムのエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS)に適した高圧ESIイオン源及び関連インターフェースを開発し、新しい分析技術として確立することを目的とする。そのため,今年度では,保有している高分解能電場型フーリエ変換質量分析計を改良して,本研究の実験に専用する計画があった。しかし、その質量分析装置が故障になったため,前倒し支払を請求し、質量分析装置の修理を行なった。修理した質量分析計の性能を評価するため、高圧nanoESI源を用いて、導電率の高い水溶媒サンプルの測定を行った。エレクトロスプレーの安定性を確認するため、スプレー電流の測定と顕微鏡画像を同時に収集できる自動制御コンピューターシステムを構築した。高圧イオン源で生成したイオンを高い効率に質量分析に導入できるよう、専用のイオン導入チューブを数種類(内径:0.1, 0.25, 0.5, 0.6 mm)作製した。イオン透過率の評価実験を行い、0.25 mm と0.5 mm のイオン導入チューブが最適であることが分かった。そして、高精度な電圧制御によって、エレクトロスプレーの流量をナノL/minレベルまでコントロールでき、生成した帯電液滴のサイズとイオン化の関係も質量分析結果で明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高圧イオン源を導入した質量分析システムの構築が成功し、高感度の測定が可能であることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の高圧イオン源を改良する。高圧室は耐食性のSUS316ステンレス合金、絶縁材料はテフロンとセラミック、シール材は高耐熱・耐薬性のパーフルオロ系ふっ素ゴム、エレクトロスプレーの観測窓は石英を候補材料とする。高圧イオン源を窒素ガスで加圧し、精密圧力とマスフローメータで雰囲気の圧力をモニターして制御する。液体温度200度以上の高温エレクトロスプレーの特性をスプレー電流やレーザー顕微法などで評価する。常温では、スプレー電流は液体の流量、表面張力、導電率と比誘電率の積の平方根に比例する。高温の下で、この比例関係を確認し、高圧高温ESIの物理・化学的特性を調べ、イオン化に最適な条件を確立する。連続フロー式の水熱反応装置の試作・改良を行なう。耐熱300度以上、液体流量 1 ~100 マイクロL/minまで調整可能な水熱反応装置を試作する。液体クロマトグラフィー用の精密高圧液体ポンプを使用して反応試薬を供給する。有効反応時間は、反応流路の長さと送液の流量制御で調整可能にする。質量分析計へのイオン導入部の設計・試作・改良を行なう。内径0.1~0.4mmのノズルまたは金属キャピラリーを介して、高圧の環境で生成したイオンを高分解能質量分析計に輸送する。質量分析計の排気量は補助ポンプにより1000 L/min 以上で調整できる。反応装置と質量分析装置の同期を行い、質量スペクトルを0.1秒以下の時間分解能で測定することによって、水熱反応中の各成分濃度、反応時間・係数を求めるように、システムの操作手順、データ解析方法を確立する。
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