2023 Fiscal Year Research-status Report
分子性触媒の安定化を可能にする高効率修飾電極還元反応場の構築
Project/Area Number |
22K05191
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 智宏 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70270999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪股 智彦 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40397493)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | FTO電極 / 分子修飾 / 還元反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、プロトン付加反応をともなう還元反応に特化した、新規電極反応場の構築を目指している。プロトン付加反応が円滑に進行するためには、電極表面にプロトンの捕捉場を構築する必要がある。また同時に還元反応を触媒できる分子も同時に固定化する必要がある。こうした場の構築に対して、本研究では、プロトン捕捉場を構築するために用いる修飾分子の嵩高さを大きくし、分子間に働く立体障害を利用して触媒分子の挿入空間を作成することにした。2022年度までにこのプロトン捕捉場を構築する新規3級アミン型分子の合成に成功していた。 2023年度は、この分子の電極表面への修飾を試みた。電極表面への分子修飾のために新規分子にはシラノール基が導入されており、強固なシロキサン結合を形成しまた将来的には光反応の応用も期待できるFTO(透明導電性)電極を基板として用いた。電極表面への修飾は、赤外吸収スペクトルとX線光電子分光(XPS)により評価した。赤外吸収スペクトルにおいて、有機分子に由来するC-H振動が見られたこと、またXPSにおいて有機分子によるC, H, Nの存在が確認できたことから、電極表面に新規分子が修飾できたと判断した。 次いで、修飾電極の電気化学的性質をサイクリックボルタンメトリーを用いて検討した。本方法では、酸化還元に関与する物質が存在した場合、電位を変化させた際に電流が流れることから、酸化還元種を確認できる。水溶液中における修飾電極では、-1V付近に酸化還元応答が見られた。これはFTO電極表面にある欠損に由来する応答であるとみなすことができる。一方でさらに触媒分子を挿入した修飾電極では、この酸化還元応答が修飾分子の酸化還元挙動を覆い隠し、修飾の可否が判断できなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、2022年度で作成した新規3級アミン型分子(修飾分子)を使ってFTO電極上に修飾し、そのキャラクタライズと同じく合成した触媒分子の挿入を試みた。各種分光学的な手法を用いて評価したところ、修飾分子がFTO電極表面に導入されたことがわかったが、さらにそこに触媒分子の導入を試みた際、その酸化還元応答は確認できなかった。その理由の一つとして、修飾電極そのものに存在する表面欠損に由来する酸化還元応答が大きく、触媒の電気化学的応答が確認できなかったことが挙げられる。また、表面に存在する修飾分子の向きや動きを把握するための手法が現状として決まらない。 以上の理由により、2023年度末までに目標としていた触媒分子の修飾電極への導入が確認できていない。そのため、同様に予定していた修飾条件の検討にも至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、表面情報の評価が困難であるため、触媒分子の修飾ができているかどうか現状においてはっきりしない。触媒未修飾電極において見られる酸化還元応答が、触媒分子の期待される酸化還元応答を阻害している可能性もある。そこで2024年度は、触媒分子ではなく赤外吸収スペクトルで特徴的な吸収を示す官能基を有する小分子や、修飾電極自身が持っている欠損に由来する酸化還元応答に影響を受けない電位で応答を示す分子を触媒分子に代えて導入して分光学的に捉えることで、触媒分子の導入の可否について評価する。この方法でも評価できない場合には、修飾分子の官能基を金属基板に修飾できる構造にかえて、金属電極基盤を用いることで評価が可能になると考えられる。
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Causes of Carryover |
本来進めるべき研究計画において、水素生成触媒の導入とその評価を進めるまでに至っていない。そこに関係する試料調製・物性評価に関わる試薬類や基板あるいは装置使用料などの購入費用分が未使用になっている。これに伴い、学会発表を含めた成果公開が十分に実施できていない。以上のことから次年度使用額が生じた。 2023年度の計画では、触媒分子の導入が容易であると考えて実施してきたが、導入を確認することができなかった。そのため分光学的に評価しやすい触媒分子に代わる化合物を用いて、表面修飾した分子との相互作用をもっと詳細に検討していく必要がある。まずそれらの試料調製・詳細評価とそれに関連した成果報告に対して次年度使用額を使用していく。その後この分子間相互作用の情報を活かして、2024年度計画に従いこれまでに合成してきた触媒分子を導入する条件をしっかりと精査し、触媒システムの最終評価を行い、学会・論文等で成果を報告していく予定である。
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