2023 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of manganese oxidation catalyzed by surface biofilms of aquatic plants
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22K05196
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
原田 英美子 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (20232845)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水生植物 / マンガン酸化細菌 / X線分析 / オオカナダモ / 付着微生物 / 菌叢解析 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
琵琶湖水圏のオオカナダモ(Egeria densa)から単離され、Priestia属と判別された付着細菌株は、液体振とう培養の条件でMn酸化能を示した。この株を用いて、Mnを添加した液体培地を用いて振とう培養実験を行った。5週間培養を行うと、培地上清中のMn濃度は大きく低下し、沈殿物中にはMn酸化物が検出された。沈殿物に含まれるMnの化学形態を明らかにするために、放射光蛍光X線分析法の一種であるXANES(X線吸収端近傍構造)解析を行った。その結果、この微生物株は培養初期ではMnを還元型のまま何らかの化学形態で不溶化し、その後酸化反応を進行させていることが考えられた。この細菌株は液体培地中のMnを効率よく不溶化することから、水圏からのMnの除去や回収への利用が期待された。 琵琶湖のオオカナダモの菌叢の特徴を調査するため、同じ水圏で生育する沈水植物コカナダモ(Elodea nuttallii)および福島県で採取したオオカナダモと比較した。植物体の表面に付着したバイオフィルムはデジタルマイクロスコープを用いて確認した。これらの植物体からはいずれも10,000ppm程度の高濃度のMnが検出された。植物組織を用いてゲノムDNAを抽出し、植物由来の遺伝子の増幅を抑制する条件で、次世代シークエンサーを用いた菌叢解析を行った。琵琶湖水圏のオオカナダモの菌叢は、同じ水圏のコカナダモ、別の地域のオオカナダモのいずれとも異なっていた。同一の水圏であっても別種の沈水植物の付着細菌叢には差異が見られ、また、同種であっても地域によって異なることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オオカナダモ付着微生物株によるマンガンの不溶化現象には、酸化反応とともに、還元型マンガンのままでの不溶化機構が存在することが新たに明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で単離し、特徴付けを行っている微生物株は、液体振とう培養の条件でMn酸化能を示す。水圏からのMn除去や回収へ適用できる可能性があることから、産業応用に向けた研究も進める。
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Causes of Carryover |
論文作成の際の英文校閲依頼料として使用する。
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