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2022 Fiscal Year Research-status Report

Development of an ionic liquid self-propelled droplet system extracting environmental pollutants from aqueous phase

Research Project

Project/Area Number 22K05199
Research InstitutionShizuoka Institute of Science and Technology

Principal Investigator

南齋 勉  静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (20563349)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsアクティブマター / ソノケミストリー / 非線形 / イオン液体 / マランゴニ効果 / 非平衡 / ソノルミネッセンス / ソフトマター
Outline of Annual Research Achievements

我々がこれまでに報告してきた界面活性剤水溶液中の自走油滴現象は、ガラス基板に吸着している陽イオン界面活性剤と油滴中の陰イオン種との会合反応により、油滴周囲の界面張力が変化することで起こる。その中で、極性が高い油滴溶媒ほど走行速度が大きくなることが分かってきたが、極性の高い溶媒は水相と相互溶解するため、水中で液滴系を形成することが難しい。
本研究では、極めて高極性で、かつ水に難溶性の液体である常温溶融塩(イオン液体(IL))を液滴溶媒として使用し、液滴自走現象の走行機構を支配するガラス基板上での濡れ性について、イオン液体と界面活性剤の種類を変えて検討した。
アンモニウム系とイミダゾリウム系のいずれのイオン液体においても、炭素鎖が短い方が水相中の接触角は高くなり、時間の経過とともに接触角の低下が見られた。これは、イオン液体と界面活性剤の疎水基同士が疎水性相互作用により親和することで、接触角が低下したと考えられる。更に、塩基性条件の水相中の方が接触角の低下が見られた。これは、界面活性剤が非解離状態になることでイオン液体との疎水性相互作用がより強く作用したと考えられる。接触角の経時変化を測定する中で,あるアンモニウム系イオン液体のみ、自走現象が確認された。これまでの研究から、液滴の自走現象には、濡れ現象と脱濡れ現象の繰り返しが重要であることがわかっているが、イオン液体の液滴の自走時においても、濡れ(接触角が低くなる)現象と脱濡れ(接触角が高くなる)現象が繰り返し起こっていることが確認された。また,水相中のイオン液体の界面張力の測定結果から,水相に界面活性剤や塩基が含まれる系では,界面の不安定性が確認され,この不安定性が自走現象のトリガーとなることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

水相中の油滴系と同様に,イオン液体系においても自走現象が確認された。油滴の自走現象は、油滴内の溶質とガラス基板上に吸着した界面活性剤分子がイオン会合反応することで、界面活性剤の脱離が引き起こされ、これに伴う界面自由エネルギー変化により、濡れ現象と脱濡れ現象が繰り返され、自発的走行をしていた。一方で,イオン液体系では,イオン液体中に溶質を含まない系においても自走が確認されたため,異なるメカニズムが存在することが考えられる。このイオン液体の自走現象は,まったく新しい知見であり,「イオン液体と水相」,「イオン液体とガラス基板」という非平衡状態の界面における新たな研究の基礎となることが期待される。
また,回収した汚染物質の無害化に向けた取り組みも並行して進んでおり,有機溶媒中におけるフッ素系界面活性剤の超音波分解反応の検討が進行中である。また有機溶媒中の超音波化学反応場の効率化に向けた検討も並行して進めている。
以上のことから,研究の進捗は当初の予定通りであり,おおむね順調であると判断した。

Strategy for Future Research Activity

水相中のイオン液体の走行性について,水相に含まれる,界面活性剤や塩の種類が影響する可能性が示されていることから,これらを系統的に変化させることで,走行性の支配要因について解明を目指す。
有機溶媒中のフッ素系界面活性剤の超音波分解について,溶媒種を最適化させることで
分解の促進が期待できる。今後,溶質の濃度依存性をはじめ,有機溶媒中の超音波化学反応場の気液界面の状態について物理化学的に解析することで,反応場の解明と,効率化の検討を行なう。
有機溶媒中における超音波化学反応場の高温状態は,雰囲気ガスの調整と気泡核形成によって大きく影響されることが分かってきたため,この支配要因の解明と,反応場の高温化と,分解効率の向上を目指して引き続き検討していく。

Causes of Carryover

昨年度の末に購入した超音波ホモジナイザーの価格や,接触角計(界面張力計)のメンテナンス費用が,想定よりも低く抑えられたことに起因する。残額は次年度の消耗品費に充てる。

  • Research Products

    (8 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (7 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Sonoluminescence intensity and ultrasonic cavitation temperature in organic solvents: Effects of generated radicals2023

    • Author(s)
      Nanzai Ben、Mochizuki Akimitsu、Wakikawa Yusuke、Masuda Yusuke、Oshio Tadashi、Yagishita Kazuhiro
    • Journal Title

      Ultrasonics Sonochemistry

      Volume: 95 Pages: 106357~106357

    • DOI

      10.1016/j.ultsonch.2023.106357

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] イオン液体の界面活性剤水溶液中ガラス基板表面に対する濡れ性評価2022

    • Author(s)
      白井 将登,南齋 勉
    • Organizer
      第73回コロイドおよび界面化学討論会
  • [Presentation] 油水二相液膜系における自発電位振動現象が生み出すセンシング機能2022

    • Author(s)
      南齋勉
    • Organizer
      第73回コロイド・界面化学討論会,シンポジウム「界面が織りなす生命性」
    • Invited
  • [Presentation] 油水二相系における自発電位振動現象とキラリティーが界面電位に及ぼす影響2022

    • Author(s)
      村松 真夕,鈴木 友也,南齋勉
    • Organizer
      第73回コロイドおよび界面化学討論会
  • [Presentation] 有機溶媒中の超音波キャビテーションに及ぼす雰囲気ガス調整後静置時間の影響2022

    • Author(s)
      増田勇介、望月彬光,置塩直史,八木下和宏,南齋勉
    • Organizer
      第31 回ソノケミストリー討論会
  • [Presentation] 有機溶媒中におけるフッ素系界面活性剤の超音波分解2022

    • Author(s)
      疋田和也,脇川祐介,南齋勉
    • Organizer
      第31 回ソノケミストリー討論会
  • [Presentation] イオン性界面活性剤の分解による超音波キャビテーションバブルの解明2022

    • Author(s)
      本田 兼吾,鈴木 誠也,南齋 勉
    • Organizer
      第31 回ソノケミストリー討論会
  • [Presentation] 陽イオン界面活性剤の超音波分解速度の速度論解析2022

    • Author(s)
      石田 優香,南齋 勉
    • Organizer
      第31 回ソノケミストリー討論会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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