2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒドロキシアルミニウム変質粘土表面における原子・分子レベルのセシウム吸着挙動解析
Project/Area Number |
22K05204
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
田村 堅志 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (80370310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 博 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (20400426)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 粘土鉱物 / 吸着 / 微細構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島汚染土壌の放射性Csの汚染状態は極めて低濃度であるため、通常の化学分析で捉えることはできない。そこで研究対象となる土壌の実態を知るために、福島土壌で放射性Csを安定吸着していると想定されるhydroxy-interlayered vermiculite (HIV)含有土壌を採取、調査した。福島県内11か所で、土壌を採取し、乾燥、分級後に粉末X線回折法(XRD)による分析を実施した。乾式篩で分級した試料(0.25~1 mm)の画分の放射線量も測定した。この土壌の放射性Cs濃度(137Cs, 134Cs)は、NaIシンチレーション検出器で確認した。XRD測定の結果、すべての試料に石英の強いピークと雲母、角閃石、カオリナイト、長石が観測され、1.4nmのピークが観測される試料については ギブサイト(G)が含まれていた。この約1.4 nmの弱いピークは層状珪酸塩の底面反射であり、これは黒雲母の風化で形成されたバーミキュライト(風化黒雲母)と考える。すなわち、Alの水酸基シート(ギブサイトシート)あるいはそれが不完全に形成されたオリゴマーを風化黒雲母層間にもつ、いわゆるhydroxy-interlayered vermiculite (HIV)であると推測できた。この土壌に関しては、約17000 Bq/kgの他の土壌試料よりも高い放射能が検出された。 このHIV含有土壌から放射性Csを脱離するため溶融塩・硫酸処理を実施したところ、3000Bq/kg以下に除染することができたことから、このHIVのイオン交換サイトとヒドロキシアルミニウム周辺が放射性Csの安定吸着サイトになっていることが推測できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基礎となる研究対象の実汚染土壌と想定モデル土壌の同一化が確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
主にラボ実験(コールド試験)による詳細な構造解析等による解析を進めていく予定である。
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Research Products
(9 results)