2022 Fiscal Year Research-status Report
極性改質が拓くビトリマー材料の結合交換ダイナミクス高速化
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22K05210
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 幹大 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70792654)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ビトリマー / 結合交換 / リビング重合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、結合交換性架橋樹脂(ビトリマー)に関して、「マトリクス極性に焦点を当てた新規結合交換促進化技術の確立(=結合交換速度の高速化)」を目的としている。2022年度では、研究対象となるモデルポリマー(アクリレートポリマー)の設計に注力した。具体的には、リビング重合を駆使しして、結合交換性官能基が均一に配置された結合交換性樹脂を調製した。ジスルフィド結合交換に関して、高極性の塩基性官能基(アミノ基)の存在が結合交換速度の大幅な向上を導くことを発見した。本知見は、結合交換性樹脂の物性制御に関して新規性があった。 上記内容の成果は、国際査読付きジャーナルのPolymer Chemistry(The role of tertiary amine as an internal catalysts for disulfide exchange in the covalent adaptable network, 2023, 14 (6), 680 - 686)に採択された。その他、予備実験内容を含めた学会発表(例えば高分子学会討論会)は6件、総説1件(日本ゴム協会誌9月号)での報告を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度となる2022年度において、研究対象となるモデルポリマーの設計が確立でき、今後より詳細に研究を遂行する上での基盤ができた。また、「極性官能基」に関して、学術的新規性の高い成果を報告することができた。学会発表も積極的に行い、関連研究者からの興味深い意見もいただくことができたため、来年度に活かしていく。 以上の結果と実績より、目的としている”結合交換性架橋樹脂(ビトリマー)に関して、「マトリクス極性に焦点を当てた新規結合交換促進化技術の確立(=結合交換速度の高速化)」”に関して、初年度は有意義に研究を遂行できたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、上記ポリマー設計を用いて、イオン液体を添加するという手法で、さらなる結合交換速度の高速化を目指す。プロトタイプとなる試料は調製済であり、物性測定・解析を進めていく。また上記設計ではジスルフィド結合という結合交換反応種に特化した研究を行っていた。来年度以降は、エステル交換反応・ウレタン交換反応・チオウレタン交換反応など、そのライブラリーを拡大し、学術的新規性・社会的意義を示すことができる成果を目指していく。結合交換機構を含む樹脂コンセプトの真の実用化には、結合交換促進化技術の確立(= 結合交換活性化温度の低温化・結合交換速度の高速化)が必須であると考えており、これを達成する指針を広く示していくことで、修復性・リサイクル性・分解性の発現効率向上を導いていく。
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Causes of Carryover |
試薬・汎用溶媒の利用が予定より少なかったため、次年度に繰り越す。翌年度分に繰り越した分は、学内共通設備利用費などとして計上する予定である。
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Research Products
(10 results)