2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Precision Synthetic Method of Conjugated Ladder Polymers enabling Self-Organization
Project/Area Number |
22K05212
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
高木 幸治 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60303690)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ラダーポリマー / 共役ポリマー / 直接アリール化 / 自己組織化 / 精密合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子・光デバイス材料として優れた機能、性能を示すためには、薄膜状態における共役ラダーポリマーの凝集構造を自己組織化によって制御することが重要である。代表者は、原子利用効率が高い直接アリール化を前駆体ポリマーに適用して共役ラダーポリマーを簡便合成している。本課題では、先行研究に基づいた設計戦略により、1)分子量が規制された共役ラダーポリマーの精密合成法を確立し、2)当該方法を応用して共役ラダーブロックおよび交互共重合体を創出し、3)共役ラダーポリマーの凝集制御につながる自己組織化を明らかにする。 初年度となる2022年度は、課題Ⅰとして掲げた「ブロモ基を含む芳香族ポリアミドを経由する共役ラダーポリマーの分子量規制」に取り組んだ。代表者らが報告している3位(アミノ基のオルト位)に芳香族置換基を有する4-アルキルアミノ安息香酸エステルの連鎖縮合重合に倣い、3位にブロモ基を有する新規モノマーの合成、重合、これに続くラダー化反応を検討した。適切な脱離基となるフェニルエステルモノマーでは、開始剤とモノマーの仕込み比により大まかな分子量制御が可能であった。次に、パラジウム触媒による直接アリール化(ラダー化)を検討した。嵩高い単座ホスフィン配位子を用いることでラダー化反応の進行が確認されたが、1H-NMRスペクトルでは副反応の併発も示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規設計した4-アルキルアミノ安息香酸エステルの連鎖縮合重合に成功した。一方、モノマーが定量的に消費されないこと、生成ポリマーの分子量分布が1.3程度と広いことをが判明し、次年度以降に取り組む課題を明確にした。また、高分子直接アリール化によるラダー化反応は進行したが、副反応が併発する傾向が見られた。過去に報告しているラダーポリパラフェニレンの合成では、カルボニル基のオルト位にブロモ基を導入していたことから、パラジウム触媒の酸化的付加や協奏的メタル化ー脱プロトン化の段階に原因があると考えられる。モデル反応を用いた詳細な解析が必要であり、次年度以降の課題とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、新たなモノマー設計に基づいて連鎖縮合重合の精密化を図る。また、共役ラダーポリマーの自己組織化に向けて、課題Ⅱとして掲げた「モノマー連鎖を操作することによる共役ラダー共重合体の系統的合成」に着手する。具体的には、アミノ基上に疎水鎖と親水鎖を導入したモノマーやダイマーの重合により、ブロック共重合体や交互共重合体の合成を目指す。ダイマーの合成に関しては、すでに報告している4-アルキルアミノ安息香酸の保護・脱保護を用いた段階的な縮合反応を利用することで達成できると考えられる。前述したモノマー設計として、ブロモ基の導入位置やエステル置換基の種類などに注意しながら実験を取り進める。
|
Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由)設備備品費として計上していた関東化学製脱水溶媒サプライシステムについては、必要分だけを脱水溶剤として購入することとし、2022年度の購入を見送った(実験の遅延には影響していない)。また、合成ルートの工夫や実験の小スケール化により消耗品費を抑えることができた。 (使用計画)次年度使用額は主に消耗品費に充てると同時に、研究がさらに加速するよう環境整備に努める。
|
Research Products
(3 results)