2023 Fiscal Year Research-status Report
キラル情報の長距離伝播と増幅能を有する超分子らせんペプチドの創製と応用
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22K05220
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
逢坂 直樹 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (80726331)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | らせん構造 / キラリティ / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、らせん形成性の高いアキラルなアミノ酸からなる動的ならせんペプチドに様々な官能基を導入することで自己組織化する超分子を設計・合成し、動的ならせん間での相互作用を介してキラル情報の相互伝達・増幅が可能なシステムを構築するとともに、超分子構造の内部に生じるキラル空間を活用した分子認識や不斉反応への応用を目指し、以下に示す成果を得た。 前年度までに、らせん形成性の高いアキラルなアミノ酸からなるペプチド鎖の側鎖間を剛直なビフェニル誘導体で一重または二重にステープリング(分子内架橋)することで、それぞれ動的ならびに静的なα-ヘリカルペプチドの構築に成功している。この結果から、二重にステープリングしたペプチドを可逆的に一重にステープリングしたペプチドに変換することで、動的と静的なα―ヘリックスの可逆的な変換ができると考えた。そこで、静的なα-ヘリカルペプチドを可逆的に動的ならせんに変換するために、アキラルペプチド鎖の側鎖間を剛直なビフェニル誘導体ならびに酸化還元応答性を示すジスルフィド結合を有するアルキル鎖で二重にステープル化するとともに、C末端に光学活性なアミノ酸残基を導入した新規なα-ヘリカルペプチドを設計・合成し、ステープル部位のジスルフィド結合の酸化還元を駆動力とすることで、らせん反転速度が著しく異なる(擬)静的と動的ならせん間の可逆的な変換が可能かどうか検討を行った。その結果、ジスルフィド結合の可逆的な酸化還元により、らせん反転速度が約1000倍変化することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なるステープルを有するらせんペプチドの合成法を確立するとともに、酸化還元を駆動力とした動的と(擬)静的なα-ヘリカルペプチド間の可逆的な変換に成功した。これらの成果は学術論文として投稿準備中であることから判断して、おおもね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度で得られた結果と動的ならせんペプチド鎖が有する『キラル情報の長距離伝達能』の特徴を最大限に活用し、以下の研究を開始する。前年度に合成した側鎖に異なる官能基を有するα-ヘリカルペプチドを用いたかご状のキラル超分子を合成し、様々のゲストを包接可能なキラル空間の構築を目指す。また、内部空間へのゲスト分子のサイズやキラリティ選択的な包接が可能かどうかについて、NMRやCDを用いて詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が所属研究機関を変更する予定が生じたため、予定していた薬品の購入を次年度に行うことにした。
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Research Products
(5 results)