2022 Fiscal Year Research-status Report
Construction of protein distribution control system using ionic liquid/water two-phase system
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22K05221
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
藤田 恭子 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (90447508)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イオン液体 / 分配制御 / 二相系 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
構造をデザインしたイオン液体にわずかな水を添加した水和イオン液体を用いることで生体分子が高次構造を保持したまま溶解可能であり、溶解後の安定性が向上することを報告してきた。水和イオン液体中に溶解した生体分子を応用するための次の段階として、水和イオン液体中に溶解した生体分子を変性や大量希釈することなく簡便に水溶液中に移行させる方法の提案が必要である。本年度は、タンパク質の溶解した水和イオン液体中に濃度の異なる緩衝液を加えてイオン液体/水二相系を形成し、緩衝液中の塩濃度と加える緩衝液の体積が水相へのタンパク質の分配に及ぼす影響について検討を行った。 多量の水を加えるとイオン液体/水二相系を形成するTetra-n-octyl ammonium dihydrogen phosphateを合成し、1イオンペアに3分子となるよう水和イオン液体を調整した。水和イオン液体中に熱変性をした糖鎖認識タンパク質(ConA)を溶解した。その後、塩濃度の異なる緩衝液を体積比の2倍となるよう加えて二相を形成し、水相中のConAの濃度を測定することで分配を解析した。その結果、緩衝液濃度が低いほどイオン液体相の含水率は低下傾向となり、タンパク質の水相中への分配は高くなった。 イオン液体に対して、加える緩衝液の量が及ぼす影響について検討を行った結果、水和イオン液体に対して20倍量で最も分配率が高く、80%以上のConAが緩衝液相に分配した。 イオン液体/水二相系を形成し、水相に分配したConAの糖鎖認識能を解析した結果、糖鎖認識能の再生が確認された。さらに、市販のConAをそのまま緩衝液中に溶解した結果に比べて高い糖鎖認識能を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水和イオン液体に加える緩衝液濃度によって、イオン液体/水二相系形成後の水相への分配が異なることを確認した。このような結果が得られる因子として、二相系形成後のイオン液体の含水率が影響を及ぼしていることを見出した。さらにConAが溶解した水和イオン液体に加える緩衝液量によって分配率は異なることを明らかにした。 さらに失活した熱凝集ConAは上記プロセス(水和イオン液体に溶解、イオン液体/水の二相系を形成)を経ることで緩衝液中に移行でき、得られたConAは糖鎖認識能を回復していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はサイズや表面電化状態等の異なるタンパク質を用いて、イオン液体/水二相系を用いた水相への分配に及ぼす影響について解析を進める。水相に分配したタンパク質の構造や活性についても解析を行い、活性を維持した相間移行を可能にする条件について知見を集積する。 また、イオン液体のアルキル鎖長や極性などによる影響も考慮しながら、イオンデザインを進め、分配に及ぼす因子を解析する。
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Causes of Carryover |
本年度、購入を予定していたガラス管の納品に時間がかかり、使用額に差額が生じた。翌年度分で当該品の購入を進める予定である。
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Research Products
(11 results)