2023 Fiscal Year Research-status Report
活性アリールエーテルを硬化剤として用いる新奇なエポキシ樹脂の創製
Project/Area Number |
22K05223
|
Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
米川 盛生 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (60724151)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 肇 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 総括研究員 (60416287)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | エポキシ樹脂 / ネットワークポリマー / 低誘電 / 接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は活性アリールエーテルと多官能性エポキシドの反応により形成されるネットワークポリマーを開発し、機械特性・熱特性・誘電特性といった諸物性を評価するとともにそのネットワークの形成メカニズムを調査することを目的とする。 今年度は、単官能性エポキシ化合物であるフェニルグリシジルエーテルを用いたモデル反応をNMR測定により追跡した。反応は無触媒の場合に加えて、触媒としてtert-ブチルフェノール、ジメチルベンジルアミン(DMBA)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、銅(II)アセチルアセトナート、亜鉛(II)アセチルアセトナートを用いた場合を検討した。無触媒の場合は200℃にしてもすぐには反応がほとんど進行しなかったのに対して、tert-ブチルフェノールを加えた系では反応が加速される一方で200℃/6時間加熱後のNMRスペクトルパターンは無触媒系と同一であることが明らかとなった。他の触媒を使用した場合は無触媒系とは微妙に異なるスペクトルパターンを示し、最終的な組成が変化することが示唆された。触媒にジアザビシクロウンデセン(DBU)を用いた場合にはほかの触媒と明確に異なる構造の生成物が得られることがわかった。 また、鉄、銅、アルミニウム板を用いてせん断接着試験を検討したところ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と酸無水物硬化剤を用いて120℃/1時間+150℃/2時間硬化させたものと比較して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と活性アリールエーテル化合物を160℃/1時間+200℃/6時間硬化させたものは、せん断接着強さが低い値を示す傾向にあることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル反応の生成物が複雑であり、詳細な解析まで至っていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は硬化剤の比率や反応温度などの条件を変更し、硬化物の各種物性に与える影響を体系的にまとめる。また、単官能性エポキシ化合物を用いたモデル反応に関してDEPT測定や2次元NMR解析により生成物のより詳細な解析を行う予定である。さらに、活性アリールエーテルの分子構造を変更することで硬化物のガラス転移温度の向上を検討する。
|
Causes of Carryover |
本年度は遠方で開催される学会・講習会への参加が少なく旅費が抑えられたために次年度使用額が生じた。翌年度分はNMR測定用の重溶媒、熱分析用のAgパン、Ptパンの購入などに用いる予定である。
|